中小企業・不人気業界でも優秀な新卒学生を採用する為の5つのコト(4回目)
キチンと採用にお金と人をかける体制が整いました。
そして、採用マインドもセット出来ました。
では、その後は何をすればいいんでしょうか。
採用担当で一番若い人のモチベーションを上げ、徹底的に磨く
1.企業の企業イメージは最初に会った人から作られる
就職活動についての調査レポートのP11によると、学生が入社を決める理由は
1位 将来性のある会社だから
2位 雰囲気の良さ
3位 長く勤められそうか
4位 説明会・セミナーが良かった
5位 給料・勤務地・仕事内容など
とあります。
2位に「雰囲気の良さ」が入っています。
「雰囲気が良いかどうか」は、入社を決める理由の上位に毎年必ず食い込んできます。学生が雰囲気を知る際に、そこには色々な人や物との関わりがあります。当然ですがその人や物が何かによって影響度が違います。
影響度は、人であれば、大きい順に以下の通りとなります。
- キャリアセンター職員
- OB・OG
- 自社の採用担当者
- 現場の社員
- 最後に面接官
です。
実はこれは「企業の就活において学生が会う人の順」とイコールなんです。つまり、就活で一番最初に会う人が一番大きな影響を与えるのです。いわゆる「初頭効果」です。まぁ当たり前っちゃー当たり前ですけど。
学生が初めて人から企業の情報を聞き、「企業のイメージ」を持つと、そのイメージが後に学生が得ていく情報に強烈なフィルターをかけてくるのです。学生が企業に対し非常に好意的なイメージを持っていれば、少々のマイナス情報も学生は脳内で勝手にプラス情報に変えます。また、脳が勝手に「不要な情報」と判断し、そのマイナス情報を認識しない事もあります。
しかし、逆に学生が企業にマイナスのイメージを持ってしまうと、少々のプラス情報では学生は脳内で勝手にマイナス情報に変えてしまいます。更には、学生がプラス情報に見向きもしないという状況になりえます。
だから、一番最初に学生に会い、企業についての何らかの情報を与える人がとても重要になってくるのです。
ちなみに、リクナビや採用HPで企業の情報に初めて触れる人も多いです。しかし学生は「リクナビや採用HPには良い事しか書かれていない」と分かっており、その情報にあまり信用していません。
特に社風なんか全然参考にしません。写ってる社員はみんな笑ってるか、ドヤ顔の腕組みですからね(笑)あまり信用していないのですから、そこで作られた企業のイメージは強固なものではありません。*1
一方で、信頼する人や媒体を介して自分が得た情報は強固になります。更に、自分が「こうだっ!!」と勝手に想像して出来た企業のイメージは強烈に残ります。
例えば、良いCMをうちまくっているメガバンクを志望している学生がいたとします。しかし、大好きだったOBが「あそこは冷たい人間ばっかりだわ!」と言われれば、学生はメガバンクに対して「人間関係が大変そう!」というイメージを強烈に刻みます。*2なので、一番最初に学生が会う人、これが最も大事になるわけです。
2.学生は誰に会っていくのか
学生は就職活動の最初にキャリアセンターの職員を訪ねます。
3割程の学生がキャリアセンターの職員にコンタクトを取ってきます。*3
そしてキャリアセンター職員から企業の情報が提示されるんです。その情報を基に、学生は企業に対する最初の印象を抱きます。
当然、その中には雰囲気も含まれます。
- キャリアセンターの人が「堅実な企業」と言っていたな。だから「おとなしい人が多い」雰囲気なんだろう
- キャリアセンターの人が「勢いのある企業」と言っていたな。もしかしたら「休みにくい社風」なんじゃないかな
と、学生は無意識にも想像をふくらませてしまいます。
前述のとおり、このように学生が会社に、ある印象を抱いてしまったとしたら、その印象が説明会やHPなどで今後得る情報にもかなり影響を与えてしまいます。なので、キャリアセンター職員へのフォローは非常に重要なのですが、それには長く良好な関係を築くことが必要になりますので、企業努力で短期間で劇的な改善を図ることはなかなか期待できません。
※キャリアセンターとの良好な関係構築については、また別の機会に話します。
次に学生はOB・OGに会います。*4
学生は就活を行う以前からOB・OGを知っています。同じ部活であったりサークルであったり、ゼミであったり、授業であったり・・・。その先輩のパーソナリティが、先輩の所属企業に対する学生の持つイメージに影響を与えます。
- 賑やかなあの先輩が行った企業だから、活気のある社風に違いない
- 「数字しか信じない」と言う先輩が行った位だから、非常に論理的な企業なんだろう
- めちゃ可愛い先輩が行く企業だから、可愛い子が一杯居そう
- あんな出来損ないの先輩が入社出来る企業だから、多分ブラックだわ
こういった印象が、キャリアセンター職員の場合と同様に、収集する情報に大きな影響を与えてしまうのです。
残念ながら、OB・OGの学生時代の印象を操作する事は出来ないので、この部分はどうしようもないです。(余談ですが、学生時代にスターだった人材を採用すると、その人を介して、学生に企業の良い印象を植え付ける事が可能!)
そして次に来るのが、今回のテーマである「採用担当者」となります。
3.採用担当者の印象を徹底的に磨いておく
実は合同企業説明会や自社の説明会といった場で採用担当者と会う前に、OB・OGに会ったり、キャリアセンターから企業の情報を仕入れたりする学生は少数派です。*5大多数の学生は合同企業説明会やセミナー、自社の説明会に来るまでに、企業の情報を肌で感じる機会はありません。
つまり、大多数の学生は合同企業説明会や自社の説明会で採用担当者に触れ、初めて強い企業イメージを形成していくのです。だから、採用担当者の、「相手に与える印象」は非~~~~常に重要なのです。
学生が以下の採用担当者に最初に会ったとしたら、どのような印象を持つでしょうか。
A
- 受付には常に笑顔の採用担当者が立っていて出迎えてくれた。
- 採用担当者がはっきり大きな声で、一人ひとりの目を見て「お越し下さりありがとうございます」と言ってくれた。
- 2回目以降に会う人については「お久しぶりですね!」と声をかけられた。
- 雨が降って傘を持って入場したら「傘をお預かりしましょうか?」と笑顔で話しかけてくれた。
- しかも、タオルまで貸してくれた
B
- 受付には「学生の皆様へ。5F会議室Aにおこしください」という札が置かれていた。
- しかし、5F会議室Aに行くまでに誰も出迎えがなかった。
- 5F会議室Aに入ってやっと採用担当者と会えた。
- しかし採用担当者の声が小さく「こんにちは」とだけ言った。
- 雨が降って傘を持って入場したら「傘は傘立てにお願いします」と言われ、傘立ての方を指さされた。
A、Bの違いは歴然ですよね。だからこそ、採用担当者を徹底的に印象良くしていく必要があるのです。採用担当者でも、「一番最初に学生が見る、話す(多分)若い採用担当者」を徹底的に印象良くするのです。だいたいは入社したての新人とか、パートのおばちゃんとか、受付のお姉さんだと思います。
学生とファーストコンタクトを取る彼らを磨くのはちょーーーーー!!!大事!*6
ではどのように印象良くしていけば良いんでしょうか。
優秀な人を配置してください(笑)そして、出来れば美男美女*7を(笑)
採用担当をしばらくやってると分かるのですが、やっぱり、各社とも美男美女を採用担当者に配置してくるんです。企業だけ「フツメンの採用担当」で、他は「イケメンの採用担当」を配置している中で説明会をする状況を想像してみてください。会社や業界に思い入れがあるならいざしらず、どんな人でも「イケメンや美女と30分話す」のと「フツメンやフツ女?と30分話す」のとでは、前者を選ぶでしょう!
・・・美男美女が配置できなかったら、彼らに「学生から見られている」という意識付けをしてください。ことさら、身だしなみや言葉遣い、愛嬌や物腰に徹底的に気を配るように指導することです。
イケメンではない私は、これらにそーーーとーーー気を使いました。笑
- フケや頭髪、鼻毛や爪、目やにや眉毛が処理されていない
- スーツ、シャツ、ネクタイ、スラックス、靴、時計が手入れされていない
- 上記アイテムの柄がどう見ても奇抜
- 姿勢が悪い
- 尊敬語・謙譲語・丁寧語の使い分けが曖昧で、慣れていない
- 学生に対し基本的にタメ口で喋る(状況に合わせ時々タメ口になる位ならOK)
- 笑顔が全く無い。もしくは無表情
- 偉そうな態度・卑屈な態度・批判的な態度
なんて状態が一つでもあったら失格です。
キチンとした学生(特に女子学生)はこれらを完璧にクリアして面接に来ます。まして、人事部は学生よりも数段上の、見本となるべき態度でないといけません。学生も馬鹿ではないし、節穴でもないです。しっかり、じっくり採用担当者を観察して、点数をつけているのです。そうです、採用担当者は学生からいちいち点数を付けられてるんです!!
4.採用担当者のモチベーションをあげる方法
そして、採用担当者が最低限、自分自身を磨けるようになったら、彼らのモチベーションをあげます。モチベーションを上げるには、とにかく
です。
社長自らが人事部員に「期待しています」と伝えてください。部長会議等の場で「採用は重点項目だから*10、人事部に協力するように」とアシスト出来ればベストです。そして、ぜひ人事部長・課長に大きな権限を持たせてください。そうすれば、採用は彼らの努力によって、グンッ!と変わります。
実際に私が採用で大きな成果を挙げた時は、社長・副社長が私に直々に「採用はどうなってる?」と良く聞いてきました。「出来る限り協力するから」とも言ってきました。そうやって、社長等から期待されていることを言動で表されれば嫌でもモチベーションが上がります。
また、私は社長・副社長を始め、人事部長や人事課長からもあまり細かくやり方について指示されませんでした。結果を出してたので。これも大きかったですね!
特に大卒向けの新卒採用は倫理憲章(今は指針?)の影響で去年の常識が今年は通用しない状況です。大学全入とかゆとり教育とか、大学を取り巻く環境もここ10年で大きく変わってきてますので、10年以上前に新卒採用をやっていたような方は下手に現場で口出しするべきではありません。
現場に任せましょう!
ですので、これの逆をやっていたら採用は上手く行きませんよ?
- 採用を知らない社長が選考に出しゃばる。深くコミットしちゃう。(人事部の立場がない)
- 社長が人事部を疎ましく思っている
- 採用担当の末端のパート社員や派遣社員を蔑ろにする社員が居る
- 経営層が「人事部に一致協力してくれ」と会議の場で言わない(たいてい現場は採用に非協力的です)
御社はそういう事やっていませんか??
モチベーションが上がって活き活きとした採用担当者(自分ですが(笑))を見ると、学生は企業に対して強烈なプラスイメージを抱くようになります。
学生は就活をする中で「働くのはツライ!」っていうインプットばっかりしてきてるわけですよ。周りの社会人も「働くのはツライ!」って異口同音に言うわけです。
そこに「働くのが楽しい♪」というお兄さんが登場するわけです(笑)
出来れば学生も楽しく働きたいのです。ツライ仕事なんて嫌だ!というのが本心です。なので「働くのが楽しい♪」と心から言える人を採用担当に就ける事は非常に大きな影響を与えます。
私自身の経験ですが、採用担当者が学生にモチベーション高く接すると、学生から以下の様な反応が返ってきます。
面接の場で・・・
- ONIKUMAさんのように楽しく仕事が出来る企業に行きたいです!(おいで!)
- ONIKUMAさんと一緒に仕事が出来たら最高です!(いや私人事部だから、部署ちゃうよ?!)
- ONIKUMAさんのような優秀な人が居る企業に魅力を感じました!(それほどでもないよ!)
※私の面接で私に対して言ったのではなく、部長や社長が出る面接で上記を言う学生がほんとに居たらしい……
内定式や入社式の自己紹介で・・・
- ONIKUMAさんが居たから入社しました(めっちゃ照れる!)
- 人事部の人が優しかったので入社しました!(私以外はね!)
入社後の雑談中に・・・
- ONIKUMAさんのプレゼンが一番面白かったです(面白いんか~い!)
- ONIKUMAさんっていっつも前向きで楽しそうですけど、ヘコむ事ないんですか?(ありますよ?)
などなど。
企業で学生からこういった声は聞こえてきますか??
聞こえてこなければ、まだまだ採用担当者のモチベーションが足らない可能性があります。
いかがでしたでしょうか~?段々と長文になってきちゃってますねー。原稿用紙14枚分も書いてるんですね(笑)
まだまだネタは尽きないので、これからもドンドン書いていきますよー!気に入ったらコメントとかいただけると嬉しいです!
次回は「社長や会社の方針(=夢)を採用に関わる全ての者が理解する」です。
次回
最終回 社長や会社の方針(=夢)を採用に関わる全ての者が理解する
前回まで
一回目 採用にきちんとリソースを割く
二回目 学生に敬意を払う
三回目 学生に媚びない
*1:ただし、解りやすくキャッチーで、具体的なデータを用いた論理的な採用HPを作ると意図的に強烈な企業イメージを作ることが可能
*2:冷たい人間ばっかり=人間関係が大変そう、という想像を学生がする所がポイント。このように連想されると、イメージは深く刻まれてしまう
*3:景気、学生数、学校の偏差値、文系理系、キャリアセンターの資金力と位置づけなどで学校差が大きいので、あくまでも目安です
*4:人事部を介してのOB・OG訪問ではなく、直接OB・OGを訪問する場合の事です
*5:実はこういう学生は優秀である事が多いんですが・・・
*6:これは、採用に限ったことではないです。営業でも、お客様と最初にコンタクトを取るような受付・電話番・アウトバウンド要因の新米営業職はちょー!大事です。
*7:年は関係ありません。かっこいい中年でもOK!
*8:ってか本当にキーパーソンです
*9:学生にとっては皆が社員です!
*10:っていうか、採用は経営にとって実際に重点項目ですね