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面接官必読!「勘違いさせる力」について

こちらを読了。一気に読めました。どうやらアマゾンなどでベストセラーになった程の著作だそうです。私的には、著者のblog「分裂勘違い君劇場」を10年くらい前から知っていて、そちらの方が詳しかったりしますけど(笑)

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

著者BLOG → 分裂勘違い君劇場 by ふろむだ

かなり示唆に富んでいたけれども、一言でこの本の主旨を伝えるなら「てめえの判断は絶対間違ってるぜ。でも皆間違ってんだからそれを利用してやれだぜ」です。

面接官は盲目状態で面接している

これ、面接官の私から言わしてもらうと、「グウッ」の音も出ません・・・。 面接官たるもの「私は正しく候補者の質を判断出来ている」などと自信満々な人は1%も居ないと思いますが、なぜ自信が持てないのか、理論的によくわかります。

また、「面接の60分の間で、私の何が分かるの??」と憤る候補者はたくさんいると思いますが、その通りです。面接官は開始30秒足らずの印象に引きずられて、過去の面接経験に引きずられて、一部のエピソードに引きずられて、候補者の事が全く分からないような盲目状態で面接をしているようです。それが明確に分かりました。

無意識に書き換えられる事実

彼らの「意識」は、たしかに、容姿ではなく、政治手腕・人柄・政策を見て、投票したのだ。 しかし、まるで夢遊病者のように、彼らの「無意識」が、彼らの意識が知らないところで、政治手腕・人柄・政策の評価値を書きかえてしまっていたのだ

恐ろしいのは、上記のように無意識に自己判断がゆがめられてしまうという事実です。

訓練された面接官はその人の素養やスキルを事実ベースで的確に聞き出してきます。それは間違いありません。

その点で、候補者は幾ら事実を隠そうとしても無駄です。訓練された面接官には素晴らしい嗅覚が備わってますので、臭い部分を探り当て、的確に事実を見破ってきます。

しかし本書によると、その聞き出した事実に対して、解釈が無意識にゆがめられてしまうのです。これは由々しき事態ですね。。。

例えば「営業成績No.1」「周囲の評価も高く、部下に推薦される形で課長になった」という事実を聞き出したとしても

  • 服装が悪印象 → 営業成績No.1はその人の功績ではないはずだ
  • 服装が好印象 → 営業成績No.1は当然だ

と考えてしまうのです。しかも無意識に。本来、服装の良し悪し(=自分の好みの服装かどうか)と営業成績には関連はありません。しかし、自分が好みの服装かどうかという点での判断が、全く違う事実に対する解釈に影響してしまうのです。

これを著書では「思考の錯覚」と解説しています。

一つでも良い部分があれば、高評価に引っ張られる

たとえば、 「売り上げを半期で73%増やしました」 「DAU500万人のアプリのサーバを運用していました」 「株式会社凸凹商事の営業部長をやっていました」 「月間300万PVのブロガーです」 「あの有名人のベストセラー本を担当した編集者です」

なんていうわかりやすい実績は、どれも「思考の錯覚」を作り出す。 たとえそれが実力によるものではなく、上司や同僚や部下や顧客のおかげで達成できた実績だったとしても、強烈な思考の錯覚を生み出すのだ。

ああ、何て怖い事でしょう。一つでも良い印象を持つ要素があれば、その他に対する印象を引き上げてしまうという事ですね。

面接で言えば、候補者に「東大卒」という学歴があれば、本当は全然仕事ができない人であったとしても、そして仮に候補者自身が「全然仕事ができませんでした」とアピールしたとしても、面接官が無意識に「仕事が出来ない」という事実をゆがめてしまい、「本当は仕事が出来る奴だ。何かあったはずだ。そうだ!上司との人間関係が問題だったのだ!」とか都合よく解釈をしてくる事を意味してます。

そして面接の態度は「本当は仕事ができるという根拠はどこだろうか」になってしまい、公平に事実から判断するべき面接官の目を曇らせてきます。

しかし、本書にてこういう原理原則を知ったとしても、対策のしようがないところも頭が痛い部分です。

面接官必読

「人をジャッジするのは難しい」と頭を抱える面接官は多いと思いますが、そもそも曇りなき公正なジャッジ自体が無理ゲーという事が、本書を読んでいると良く分かります。人間の脳構造的に不可能であるならば、不可能であるという事実を受け入れて「俺のジャッジは必ず歪んでいる」というマインドセットを基に面接を進めた方が幾分健康的です。

もちろん、逆に候補者側である場合、「思考の錯覚」を逆手にとって、面接官を篭絡する道しるべにもなります。その意味でも、面接対策としても十分で、とても怖い書であると思います。

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

こちらに序章のみ全文掲載されています