鬼人事クマさんのブログ

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女性をバカにする女性専用車両

※私は痴漢対策には大賛成ですが、女性専用車両に大反対の立場です

さて、今回は女性専用車両について取り上げます。

女性専用車両は痴漢対策に全く効果なし

主題に「女性専用車両は痴漢対策に全く効果なし」と書いてますけど、すみません。実は「痴漢対策に効果なし」とは言えないんです。

それは痴漢対策とは何なのかが分からないからです。なので当然痴漢対策に成功した・失敗したのはどう測るのかもわかりません。仮に痴漢対策とは痴漢の件数が、暗数も含め減ることだとしましょう。当然、痴漢の件数が減れば痴漢対策成功ですし、痴漢の件数が増えれば失敗になります。

これだと「女性専用車両は痴漢対策に全く効果なし」と断言できるんです。

なかなか「痴漢対策とは?」という事への回答が見当たらないので、仮に「痴漢発生件数を減らすこと」を“痴漢対策1”としましょうか。

痴漢対策1:痴漢発生件数の減少

痴漢の発生は

  • 女性が男性に囲まれる事(1車両内の男性割合が増える)
  • 車両が混むこと(1車両内の男女合計数が増える)

と正の相関関係があります。

たいていの痴漢は自分がやったとバレないから痴漢をするわけです。痴漢のほとんどが男性ですから、周りに男性が居れば居るほど、痴漢はしやすくなります。つまり1人の女性に対して3人より4人、4人より5人と周りに男性が多いほど痴漢は発生しやすくなります。そして、混雑率と痴漢件数はほぼ正の相関関係があります

エクセルを駆使?して図を書きました。下図は電車と乗客の模式図です。

上図では女性専用車両がない場合を考えています。
10両編成、男性が●、女性がで、男女仲良く1:1の割合で20人が1両に乗車しています。

さて、女性専用車両を1両導入してみましょう。そうすると、下図のようになります。

ここで注目するべき事は、女性専用車両を導入する(B)と導入しない場合(A)に比べて

  • 他の車両が混んでしまう
  • 他の車両の男性割合が増える

という事です。事実、車両はより混雑していますよね。

では、混んでしまった分、女性が女性専用車両に移動すれば良いか、という話です。
以下の図を御覧ください。

上図では確かに混雑率は解消されるかもしれません。しかし、Aの図よりも

  • 車両における男性割合が増えています

確かに女性専用車両内では痴漢件数は激減するでしょうけど、その他車両では痴漢件数が増えてしまいます。

さて、実際には男性の方が女性乗客より多く、女性専用車両は比較的空いています。つまり以下の図のような状況なのです。

毎日都心へ通勤電車を利用している方はだいたい上図のような状況下で通勤をしているのです。

もう一度繰り返しますが

  • 女性が男性に囲まれる事(1車両内の男性割合が増える)
  • 車両が混むこと(1車両内の男女合計数が増える)

が痴漢の発生件数を上昇させます。

したがって、女性専用車両を導入し男性をその車両から排除することはその他の車両での痴漢件数を増加させてしまうということがわかったと思います。*1

痴漢対策2:女性の安心

女性専用車両内の女性の安心という痴漢対策のために、その他車両の女性の不安を増やしてもいいのかという根源的な問題を抜きにして考えますが、痴漢対策を“女性の安心”を目的とするとどうでしょうか。“女性専用車両内の女性の安心”を目的とした痴漢対策を“痴漢対策2”とします。

確かに電車の痴漢被害に遭われた女性にとっては男性が居ない空間を作ることは安心につながります。その意味では男性の居ない空間を確保する女性専用車両は、痴漢対策2には極めて有効でしょう。男性を完璧に隔離した女性専用車両内では痴漢の発生はほぼ0(女性から女性の痴漢はあるかもしれない)です。

しかし、痴漢対策2は以下の問題を同時に発生させてしまいます。

  1. 他の車両での痴漢発生件数を増加させている(少なくともより痴漢しやすい状況を作っている)
  2. 女性専用車両を利用する女性が痴漢被害者など「安心を求めている者」かどうか見分けがつかず、目的に沿った利用をされているか検証できない
  3. 善良な男性を痴漢するかもしれないからという理由で排除している

1.の「他の車両での痴漢発生件数を増加させている」は先ほど図解でも述べたとおりです。女性専用車両内の安心のために、他の車両内の不安を増加させていいんですか?

2.の「女性専用車両を利用する女性が痴漢被害者など「安心を求めている者」かどうか見分けがつかず、目的に沿った利用をされているか検証できない」も非常に問題です。

例えば、痴漢被害に遭いそうな10代〜20代の女性が女性専用車両を利用しようと思っていても、比較的痴漢のターゲットになりにくい40歳以上の女性が大勢で女性専用車両を利用してしまっていては、彼女たちが女性専用車両に乗れず、痴漢対策2の効果が薄れてしまうのです。現状では“痴漢被害に悩む女性専用車両”ではなく“女性なら誰でも乗れる女性専用車両”ですから、たとえターゲットに極めてなりにくい70歳のおばあちゃんが乗っていたとしても、彼女を排除出来ないわけです。

単純に考えて、一人の比較的痴漢に狙われにくい女性が女性専用車両に乗ると、一人の痴漢に狙われやすい女性が排除されます。

「痴漢に関係ないオバサンが我が物顔で乗ってて女性専用車に乗れなかった!」と憤る若い女性は少なく無いと思うのは私だけでしょうか?

3.の「善良な男性を痴漢するかもしれないからという理由で排除している」も大きな社会問題です。

痴漢のほとんどは男性ですが、男性のほとんどは痴漢ではありません。

いかなる場合でもその属性によって犯罪を犯す前に取り締まったり、排除してはならないのです。つまり、痴漢は痴漢を犯した瞬間に犯罪者となり、痴漢を犯すその瞬間まで、善良な市民として接しなくてはなりません。いわんや元々痴漢に全く及ぶべきもない大多数の男性を排除するなどもってのほかです。

  • 痴漢はほとんど男性が起こすものなのだから、同じ男性として1車両使えない・その他の車両がより混雑してしまうなどの不利益を我慢して当然。
  • 女性専用車両に反対するよりも、痴漢に対して反対するというベクトルを向けるべき。

そういう女性専用車両に賛成の方の意見がありますが、逆に「女性が売春婦と一緒くたにして排除される」状況を想像してみるとこれらの理論が間違っているという事が分かります。

  • 売春するのはほとんど女性なのだから、同じ女性として歌舞伎町に立ち入れないなどの不利益を我慢して当然
  • 女性排除に反対するよりも、売春に対して反対するというベクトルを向けるべき

という理論をどう思いますか。

また、「アフリカ系黒人は犯罪を犯すかもしれないから、”女性の安心"のためにJapaneseOnly列車を導入する」ではどうでしょうか。

  • レイプはほとんど黒人が起こすもの*2なのだから、同じ黒人として1車両使えない・その他の車両がより混雑してしまうなどの不利益を我慢して当然。
  • 日本人専用車両に反対するよりも、黒人レイプに対して反対するというベクトルを向けるべき。


まさか、これが受け入れられるだろうという認識を持っている日本人は少ないと思います。外国人だからといって皆を排除するのは間違っているし、たとえ外国人犯罪が減るからと言っても善良な外国人まで排除してはいけないと分かっているからです。
しかし、なぜ肌の色や人種ではダメなのに、性別になればこうも簡単に隔離政策が受け入れられるのでしょうか。

不思議でなりません。

痴漢対策3:鉄道会社が痴漢対策を頑張ってると乗客に認めてもらう(非難をもらわない)

最後に、それ以外に女性専用車両を設ける目的を考えます。

  1. 乗客に痴漢対策とは?など根源的な問いを起こさせない、考えさせない
  2. 鉄道会社が安価で実施できる。むしろ金儲けもできる
  3. 鉄道会社が見た目上、痴漢対策をしているフリが出来る

びっくりです。さすがにこれが痴漢対策とは呼べないと思いますが「鉄道会社が痴漢対策を頑張ってると乗客に認めてもらう(非難をもらわない)」痴漢対策の事を、“痴漢対策3”とします。

1.の痴漢対策とは?など根源的な問いを起こさせない、考えさせない対策とはなんでしょうか。

それは、私のように「そもそも痴漢対策って?」などと考えさせないようにする事です。

乗客が痴漢対策ってなんだろう?って考えてしまうと、当然「痴漢対策って、数が減ってるってことだよねー!」と考える乗客が男女問わず相当数出てきます。そうなると「女性専用車両導入前と導入後で痴漢の件数は減ってるのかな??」と私のように自分で調べる人が出てきます。

そこで調べた人が「女性専用車両導入により、痴漢発生件数は劇的に減少している」という事実に行き当たれば万々歳ですが、有意に減少効果が出てきていると証明するデータはなく、どこの駅に行っても「女性専用車両のおかげで車内痴漢件数は減少しました!」というポスターや案内すら皆無です。また、警視庁も“なぜか”車内痴漢件数の年ごとの推移を公表していません。

痴漢対策を実施して、痴漢件数の減少が認められれば鉄道会社にとっても乗客に対して「確りと女性のことを考えている!」などという大きなプラス宣伝効果があるはずなのに、なぜそれをしないんでしょう?まさか、痴漢件数の推移データを取ってみたものの有意に差が無かった(却って件数が増えた)から公表できないなんて事は無いかと思いますが。

2.の安価でできる対策とはなんでしょうか。

鉄道会社は営利企業なので、利益にならない事はしたくありません。痴漢対策にはお金はかかれども、収益効果はほとんどありません。なぜなら痴漢が起ころうが、乗客が嫌な思いをしようが、電車以外に効果的な移動手段が無ければ引き続きその路線に乗ってくれるからです。

痴漢発生件数が鉄道事業の利益に影響するのは、他に効果的な代替移動手段が確保されてからです。例えば空中を走れる安価な自家用車が普及したら、痴漢が発生する路線を持っている鉄道会社は血眼になってその減少に務めるようになるでしょう。

なので鉄道会社からすると、痴漢対策とは費用をかけなければかけないだけ良いものなのです。もとい、倫理観を抜きにして利益を追求すれば会社は痴漢件数の減少に費用をかけてはいけないのです。

そんな事はない!鉄道会社は本当に女性の痴漢被害に真摯に取り組んでいる!という甘い考えの方にはこの”女性専用車両 広告”で検索したこのリンクを差し上げます。

「効果的に女性に広告できます」ですって。「痴漢対策のついでにお金も儲けちゃおう!!!」っていう事ですかね??女性専用車両の中吊り広告は比較的若い女性のみをターゲットに出来るため、広告主には費用対効果が大きいらしいのです。その他の車両に比べて広告掲載費は高く設定するなんて、鉄道会社はプライシングがうまいですね。

痴漢発生件数の減少に全く寄与せず、しかも男性の善意の協力をあおって女性専用車を運行させながら、「もしや!一儲けできるのでは!」なんていう発想があった事自体に、つくづくこの国の素晴らしさを感じます。

3.見た目上、痴漢対策をしているフリが出来る対策とはなんでしょう。

「女性が輝く社会!」などという某政党とその支持団体の宗教が創りだした時代のトレンドに対して、痴漢対策をしているという格好がつく対策という事です。

痴漢対策とは何なのか(目的の設定)、痴漢対策の効果をどうやって測るのか(計測方法)、代替案はどのようなものがあるのか(代替案)、など、真面目にプロジェクトを始動すれば必須な要素はとりあえず置いておいて、とにかく痴漢対策をしているというイメージを乗客にアピールすればいいという痴漢対策です。

方法は

  1. ペタペタと電車やホームにピンク色のステッカーを貼って
  2. 警備員が「女性専用車でーす。ご協力おねがいしまーす」と声を張り上げ
  3. 車内アナウンスで執拗に女性専用車への協力を告知する

という、視覚と聴覚に訴える方法です。

傍から見ると痴漢対策をやってる感が出ますよね。

たしかに、男性を車両から排除すること(憲法違反)には成功していますが、何を目指してどんな効果を得ようとしているんでしょうかね??その部分の説明はまーーーーーったく触れていません。

女性をバカにする女性専用車両

さて、この痴漢対策3は女性をとてもバカにしています

  1. 痴漢対策とは?など根源的な問いを起こさせない、考えさせない → 女性の皆さんは「痴漢対策なんて本気で考えないでね!」
  2. 安価でできる → 女性の皆さんの安心より利益優先です!
  3. 見た目上、痴漢対策をしているフリが出来る → 僕たち本当は痴漢対策をやる気はありません。とりあえず「やってる感」だけは見せておきます

もちろんこの痴漢対策3は私の妄想ですので、現実は違うと思います。しかし仮にですよ、本当に鉄道会社が痴漢対策3を行っているとしたら、女性が全く怒らないどころか、むしろ現状の女性専用車両を導入した鉄道会社を褒めてすらいる状況は異様です。

鉄道会社は効果の怪しい女性専用車を導入する以外に、何か効果的な痴漢対策をしていますか??

女性専用車が出来てからもう10年が経とうとしています。女性専用車が出来て本当に女性*3は安心して通勤できるようになっていますか?そこの所をよ~~~く考えた方が良いです。そして違和感があるのならば、わたしと一緒に「女性をバカにするな!!!」と唱えることにしましょう。

*1:もちろん、その他の車両に女性が全く居なければ痴漢は起こらない。いや、ターゲットになる女性をなるべく女性専用車両に詰め込めば痴漢件数は激減するのだが、女性に対して「移動のお願い」はなぜか全くされていない。それゆえ現状では痴漢発生件数を増加させる結果につながっている。

*2:実際はそんなこと全くないですが、仮にそれが真実だとしたら

*3:もちろん、女性専用車内の女性じゃなくて全車両に乗る女性ですよ!