公務員 = 安定?
子どもがなりたい職業ではやはり、身近に関わりのある職業が並びます。
男の子
1位:スポーツ選手
2位:警察官
3位:運転手女の子
1位:パン・ケーキ販売員
2位:芸能人
3位:花屋
何とも頼もしい限りですね!身近にそれだけ「光っている大人」が居るっていう事です。特にカッコいい警察官や憧れの販売員さんがたくさん居る日本って素敵ですよね!
一方で、親が子どもに就かせたい職業は
男の子
1位:公務員
2位:スポーツ選手
3位:医師女の子
1位:看護師
2位:薬剤師
3位:公務員
何と男の子は公務員がトップで女の子も3位に公務員がランクイン。
なぜ????
大人の世界にはカッコいい公務員が多いのでしょうか。
引用先から見ると、親が子どもに就いてほしい職業に公務員を挙げる理由は「安定した将来を願う」とあります。これが全く分からんとです。
公務員=安定?
安定の定義をしよう!
親が子どもに願う「安定した将来」とは一体何でしょうね?
まぁ私が思う職業上の安定ってこんな感じ?↓↓
- 解雇されない
- 毎月十分な給与をもらえる
- 社会的に認められた職業である
・・・えっと、今40歳位の公務員ならいざ知らず、今年20歳で公務員になる人にこの先ずっと当てはまると思います??
役所を企業に例えてみよう!
公務員に「安定した将来」を託す人って、人口減、グローバル化、高齢化、地方過疎化の中で公務員として働く事がいかにリスキーかまるでわかってません。
公務員が務める役所も、サラリーマンが勤める企業も、同じ“組織”なので、役所を企業に例えてみましょうか。
- 役所において住民がどんどん減っていく = 企業において顧客がどんどん減っていく
- 役所において住民の高齢化がどんどん進む = 企業において顧客単価が減る*1
です。
当然、企業であれば以下のような状況になり得ます。
- 顧客が減るので、売り上げが減っていき
- 売り上げが減るので、社員と商品がどんどん減っていき
- 既存社員は解雇・賃下げ出来ないので新卒採用数を絞り
- そのため社員はどんどん高齢化し
- 経費を賄う為の負債はどんどん膨らむ
これを役所で当てはまると
- 住民が減るので、税収が減っていき
- 税収が減るので、職員と行政サービスがどんどん減っていき
- 既存職員は解雇・賃下げ出来ないので新規採用数を絞り
- そのため職員はどんどん高齢化し
- 経費を賄う為の負債はどんどん膨らむ
です。
現に、職員数はどんどん減っていますね。
一方で、職員の平均年齢は上がっていく傾向にあります。
・・・グラフを見るだけで恐ろしくなりませんか?
職員数はどんどん減ってるのに平均年齢は上がっています。公務員は実質、年功序列ですので平均年齢が上がれば上がるほど経費はどんどん増えていきます。
つまり、黙っていてもどんどん経費は増える一方、黙っていたらどんどん税収が減っていくのです。
こんな未来を辿る事ほぼ決定な組織のどこが安定??と私は思うわけです。
公務員、門をくぐれば一生安泰?
「確かに新規採用数は減ってるけど公務員になれば安泰でしょ?!」と思うかもしれません。
私が先ほど挙げた「安定」の条件は以下の通り。
- 解雇されない
- 暮らしていけるのに十分な給与がある
- 社会的に認められた職業である
公務員は本当に解雇されないと思ってます?解雇はないにしても、早期退職制度は既に実行されてますよ?
企業でも、解雇は労働法的に要件が非常に厳しいので解雇よりも早期退職制度が主流です。しかし、早期退職制度でも人が集まらなくなった場合には企業は「追い出し部屋」を用意して自主退職に追い込むことをします。
それを公務員だけはやらないのでしょうか?今後、数十年も?税収が下がり続けるのに?
財政危機が起こっても「公務員解雇合法化法案」が国会を通らないと思ってる?財政危機で窮状を訴える国民がその法案を支持しないとでも?
・・・まぁ、運よく今後数十年間も今の雇用を維持したとしましょう。しっかし、正職員での公務員の仕事、今後はメッチャきついですよ。たぶん。
公務員の取り巻く状況は以下のようになる事は先ほどお伝えしました。
- 国民が減るので、税収が減っていき
- 税収が減るので、職員と行政サービスがどんどん減っていき
- 既存職員は解雇・賃下げ出来ないので新規採用数を絞り
- そのため職員はどんどん高齢化し
- 経費を賄う為の負債はどんどん膨らむ
つまり、あなたが今20歳位で入職し、30歳になるまでをシミュレートすると以下のようになります。
- 40歳以上のオジさんがうじゃうじゃ居る職場で
- 定年退職するオジさんの仕事はあなたが全部引き受け*2
- 部下は一向に来る気配がなく
- やっと来ても「女性枠」で入ってきた能力の足りない勘違い女性で*3
- 入札の度に人が変わる数十名の業務請負社員のお守に追われ
- 寮や手当など不要な福利厚生は労働契約の段階で遠慮なくカットされ*4
- オフィスの暖房や照明まで十分に使えず
- 10年以上前のPCで
- 残業も満足にできず、サービス残業も出来ず*5
- 家に仕事を持って帰る事も許されず*6
- 遠方出張も日帰りで
- でも行政サービスの質は落とせない*7
という10年間が待ってますね。
しかも、税収が大幅アップ!でもしない限り、この傾向は年々強化されます。2020年からの10年と2030年からの10年は全く違うと言っていいでしょう。悪い方向で。
一言で言うと、公務員の仕事がどんどん給与と割に合わなくなるとです。
門を出ると更に地獄!
こんな激務は嫌だ!!!と入った門を出たとしても待ち受けるのは地獄です。
残念ながら元公務員という肩書だけで いざという時転職出来るほど世の中甘くありません。もちろん天下り出来る程権力あれば別ですが天下り出来る人間はほんの一握りです。
それどころか、元公務員という肩書は民間から非常に疎まれます。「国立大学を出て、公務員一筋で20年働いて、今40歳!」な人は民間企業への転職はほぼほぼ絶望的です。*8
基本的に公務員は公職の転職市場という狭いフィールドで戦わざるを得ないのです。しかも、それは民間の転職市場と比べて雇用が安定している分、激しく雇用流動性にかけるものです。
民間よりも遥かに少ない椅子を公務員同士が奪い合います。そして公務員数の減少とともにこの椅子は年々確実に減っていきます。
それが嫌となれば、民間の転職市場にトライする訳ですが、先ほど言ったように、元公務員というキャリアは民間にとって大きなハンデを背負うことになります。
つまり一旦公務員に就いてしまえば、民間に通用するスキルか権力を得ないと、いかに労働環境が悪くなろうが鬱になろうが、辞められなくなります。
そのどこが安定??と私は思うわけですよ。
本当に「安定した将来を願う」なら
では本当に安定している職業とは何でしょうか。
- 世界に通用する
- 将来性がある、恒久的な需要がある
- 付加価値の高い
- 雇用流動性のある
- 長く働ける
- 市場が大きい
を満たす物です。
その意味では
- 投資家
- 接客業(日本の接客スキルは世界一)
- システムエンジニア(システムの仕組みを考える人)
- 重機の運転手
- 医師
- 看護師
- 経理
- 設計士
- バイオエンジニア
- アニメーター(世界に発信できる人)
- 調理師
あたりが良いと思います。
日本が世界一である職種と英語を完璧にマスターすれば一生どこでも食いっぱぐれる事はないでしょう。
逆に
- 日本国内限定の産業で
- 将来的な需要が見込めず
- 付加価値の低く(=誰がやっても同じ)
- 雇用流動性がなく
- 長く働き辛く
- 市場が小さい
職種を選んでは「安定した将来」など夢のまた夢です。これをみればいかに公務員で事務職をやることがリスキーかわかると思います。*9
子どもに「安定した将来を願う」のなら、「安定とは何なのか?」をしっかり定義し深く分析する必要があります。