鬼人事クマさんのブログ

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ONIKUMAの叫び 〜労働基準監督署の強化が先!!!〜

皆さんこんばんは。
今日はとんでもない記事を発見したのでそれを分析します。


全文表示 | ドコモ「月・火休み」の衝撃 「月月火水木金金」にならないか : J-CAST会社ウォッチ

携帯電話最大手のNTTドコモが、2011年7月から10月までの3か月間、東京電力管内で働くグループ社員の約4分の3に当たる約1万人を対象に、休日を土日から「月曜日と火曜日」にずらすことを決めた。

持ち株会社のNTTも、研究所に勤務する約2700人を「水・木休み」に切り替える。この夏の電力不足が予想される中、比較的電力に余裕のある土曜日と日曜日を稼動し、休日を振り替えることにした

上記は3ヶ月という限定ではあるが、どうやら日本の大企業全体がそういった流れであるようなので、今後も「休みをずらす」傾向が続くとして話を進めよう。

■NTT以外も土日に働くようになります
まず、これは今でさえ怨嗟の声が挙がっている日本の労働環境に、一層悪化への拍車をかけるものと断言しよう。NTTグループといえば、日本を代表する企業なので、その利害関係者といえば、その従業員を含めてかなりの規模になると思われる。その代表企業が「土日も働く」というのだ。


馬鹿じゃないのか


これが正直、自分の感想である。なぜなら、NTTグループの社員はそれ自体で完結するような仕事をやっている訳ではなく、絶対に関係先が存在し、その関係先と仕事を調整しているはず。その関係先は土日が休みなのだ。当然取引先が休みであれば、仕事はできない。


さて質問。


日本人の、NTTに勤めるようなバリバリのエリートが、土日仕事が出来ない状態で、何も行動を起こさないだろうか?答えは否である。当然「土日も働けるところを探す」という行動に移すはずだ。だって、彼らは水木がすでに休みなのに、土日も関係先の都合で仕事が進まないとしたら、週休4日状態になるからだ。仕事の量が変わらないのに、休日を減らされるのは地獄以外の何者でもない。つまり高い確率で、彼らの仕事の量が減らない限り必ず土日でも従来どおり仕事ができる環境を整える(もしくは水木を出勤する。多分サービスでwww)様になる。


日本経済に市場原理が働く以上はそういった期待に応えるべく、「弊社は土日でも働くし、A社と同じクオリティを維持できますよ」という会社の勃興、つまり競争が必ず起こるはずである。っていうかそれが起こらないとすれば、私は直ぐにでも帰国するw


そして、そういった企業が起これば後は連鎖的に「弊社も土日も働けます!!(もちろん労働者はたまったものではない)」という会社が続々と産まれるに違いない。なんてったって、天下のNTT様である。取引額も無視できない規模のはず。各社が“柔軟に”体制を変えるなか、呑気に土日休業なんて楽に構えている経営者なんていない。


・・・いったい誰が得をするというのか


はなはだ疑問である。


■土日限定だったサービスが、平日へとシフトする
都心の通勤列車の間隔は異常と言えるほど短いが、それは全て私たち消費者が求めた結果である。行き過ぎたサービスや望まれないサービスは“法で守られなければ”市場が淘汰してくれる。商品であれば誰も買わなくなるし、サービスであれば次からは利用しなくなるからだ。


つまり、我々が“もっと電車が欲しい”というニーズを持ち、それを企業が提供し、そして我々が“購買”という行為によって支持して、現状の異常とも言える状況が生み出されたわけだ。


さて、NTTグループおよびそれに続く大企業が軒並み“土日就業”になったとしよう。その結果、当然ながら平日、いわゆるパパが巷に今以上にあふれるようになる。それは商売人にとっては大きなチャンスになる一方、当然悪影響も懸念される。


現状、美容室や外食、レジャーなど“サービス業”は木曜とか水曜とか休みの所が結構ある。しかし、これからは平日でもお金を持ったパパが巷にあふれるようになる。一体彼らの休みはいつになるのだろうか


土日に休む人間が減ると言う事は、土日に民間消費が落ちるという事だ。民間消費の担い手である小売店やディーラーが、土日に休む事がないのが証左である。土日に民間消費が旺盛であるからこそ、彼らは土日に営業をしているのだ。さて、土日に落ちた民間消費は他の曜日に移動することになるが、いったい何曜日に移るのだろうか??そして、いったい何曜日に移るのか分からなければ、小売店やディーラーはいつ休めるのかわかるのだろうか??


毎日5時にドッと客が押し寄せると分かっているから、小売店は品揃えや人員を調整出来るのである。土日にドッと客が押し寄せると分かっているから、小売店はそこに資源を投下するのである。いったい何曜日にドッと客が押し寄せるか分からない状態で、小売店はどう対処すればよいのだろうか。



労働基準監督署の強化が先!!!
別に“土日休日を他に振り替える”事自体は違法ではない。まして電力問題には間違いなくプラスが望めるし、その他のプラス作用もあるかもしれない。しかし、“代わりにその他の曜日に休む”というのはデリケートに、極めて慎重になった方が良い。人事経験者として言うが人事や経営者は“いかに働かせるか”しか考えていない。


“いままで働いていなかった曜日に働く”というのは経営者は大歓迎だが、“代わりにその他の曜日に休む”というのは大反対なのだ。


現状でもサービス残業という名の“賃金不払い残業”が横行し、自殺者が3万人も居て、うつ病患者が年々増加し、沈滞ムードが漂う状況なのに、“代わりにその他の曜日に休む”という選択肢を経営者がキチンと守るだろうか??


それを守らせるために、労働基準監督署があるのだが・・・今はまったく機能していないので、現状でそこに望みを託すのは間違いである。まして、今は未曾有の不況と化していて、年々労働基準監督署へのタレコミも増えていようから、1件1件の対処へのクオリティは落ちていると考えて問題ない。


労働基準監督署については横のつながりで色々な事例を聞いたが、タレコミによる査察がきてもたいてい“誤魔化し帳簿を見せて終わった”とか“勧告受けて申告した人だけの休日出勤手当てを出した”とか、そういったレベルに終始し、“全社員の2年分の残業代の支払いを命じられた”とか“社長が告発される刑事事件に発展した”などという、抜本的な変化が期待できる成果はほとんど皆無なのである。(超一流の大企業ではたまに成果がある)。ちなみに彼らが悪いわけではないことを付け加えておく。彼らは彼らなりに全力、かどうかは分からないがキチンと仕事はしていると思われる。


ゆえに私見であるが、まずは労働基準監督署せめて税務署並みに資源配分するべき。その上で、こういった“いままで働いていなかった時間に働く”類の法律や慣行を実施した方が良い(労働基準監督署の職員を10倍にする為に、1%消費税を増税しますという政治家が居れば、間違いなく1票入れる)。


そうしなければ、単に経営者が「お得意様が土日就業だから」という“いままで働いていなかった曜日でも社員を働かせる”大義名分を手に入れただけで終わる可能性が高い。きわめて危険な慣行なので、NTTには3ヶ月以上の実施は自重してもらいたいものだ。