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鬼人事クマさんのブログ

御社の社畜を探します!採ります!育てます!

政府が新卒支援へ「新卒者雇用・特命チーム会合」

さて、皆さんこんばんは!!
今回はホットほかほかな話題を政府が提供して頂けました。
菅総理の動き 新卒者雇用・特命チーム会合|首相官邸ホームページ

新卒者雇用・特命チーム会合は、本年及び来年以降、大学・高校新卒者の就職環境が厳しい情勢にあることを踏まえ、政府横断的な取組をより強力に推進するため、総理の指示に基づき設置されました。今後、新卒者雇用に関する「短期及び中長期の政策プラン」を取りまとめ、総理に報告することとしています。

■新卒雇用の歪みは根深い
一番知りたかった参加メンバーのリストですが、何処にあるのか探せませんでした・・・。きっとどこぞの提言の検討委員会のように、政治家(最近の就活を経験していないandフリーター経験なし)を筆頭に、大学教授(最近の就活を経験していないandフリーター経験なし)や大企業の社長(就活に携わっていない)を端に加えて検討するんじゃないでしょうか。

なぜ私のような人事担当やもっと言えば学生を加えないのか、そしてなぜ中小企業を加えないのか、問題はそこにあると思う。いつも思うんですけど、なぜ当事者である学生と共に問題を協議しないんですか??もしかすると、“学生の意見は頼りない”と認めている事の裏返しなのではと訝しんでしまいます。学生ではないですが、個人的には城繁幸さんなどを加えて頂くと非常に面白い議論になるだろうと思っています。既得権コチコチの教授や大企業役員などは顔色が悪くなりそうですけど(笑)

はっきり言うと、新卒の歪みは相当根深い問題で、もはや「リクナビの登場云々」「ゆとり世代の教育云々」が主題ではないんですよ。「日本の雇用」というもう少し大きな枠で考えないと、根本的な解決にはつながらない気がします。ちなみに言うと、リクナビを無くしても、地方との情報格差が今以上に広がりますし、効率性の面からも私のような採用担当はいちいちキャリアセンターまで求人票を出しに行く事になりますので悪化しそうです。学生さんは母校の求人情報以外にアクセスが難しくなります。やはり需要があったからこそリクナビはここまで普及したのだと思います。


■人件費の内訳変更でしか解決できない
そもそも、いくらこのような政策を練った所で、利益が上がらなければ人件費の総枠は決して増えません。大体、生涯年収1億円以上の正社員を雇うのに、100万円の補助金なんて焼け石に水です。子ども手当てをもらっても「じゃあもう一人生もう!!」とは言わないのと同じように、はした補助金をもらっても「じゃあ一人多く採用すっか!!」とは企業はならないのです。

利益が上がるかと言うと、国全体で見ると今後も上がりません。人口が減り、国債がかさみ、富裕層が貯蓄や海外への資産移動に勤しみ、高税率でデフレなわが国でどうして利益があがるのでしょうか。利益が上がらない、つまり人件費の総枠が決して増えないのですが、そうなると内訳を変えるしか、新人の人件費を捻出する方法はありません。つまり積極的に新卒採用をする為には新人の人件費割合を増やすか割合固定で新人給与を大幅に削るしかないのです。例えば100万円が人件費総枠であれば、新人用の人件費を10万円⇒20万円にするか、給与を2万円で5人雇うのを1万円で10人雇うかにするかしかないのです。

内部留保を吐き出して、人件費に回せという意見もありますが、サービス残業大国の日本がそれを実行する日はいつくるのでしょうか。例えキャッシュが多くあったとしても、人件費は所詮“経費の一部”であり、それゆえに少なければ少ないほどよいと考える経営者が多数派です。ですので、いくら儲かっても、資金はまず“投資”項目に回され、人件費は後回しになります。そんな状況で「人件費を上げろ!!」と叫ぶ事がいかに意味のない事かわかろうものです。


■中高年の人件費割合の変更は非常に難しい
人件費総枠が増えないのであれば

1.新人の取り分を増やして頭数を増やす
2.新人の給与を減らして頭数を増やす

どちらかしかないのですが、2は望み薄です。なぜなら、元々新人の給与は低く抑えられており、半減などしようものなら、基本的な生活が困難になるレベルに達します。3割カットでも、例えば20万の初任給であった場合は14万になります。税金で約20%持っていかれるので、11万程が手取りになります。これで都内で所帯を持てますか??家賃を5万円とすると、残るは6万円です。それで衣・食・遊を賄わなければなりません。さすがにそれは従業員満足度を大きく減退させる事につながるので、企業側もそんな大胆には給与カット出来ないです。大胆には、ですけどね・・・。

であるなら、1の新人の取り分を増やす方向を考えるわけですが、当然のことながら他の階級の取り分とトレードオフの関係です。そして高給取りの取り分を大きく減らせればそれだけ他の階級の取り分が大きく増えます。しかしながら、今の高給取りはほぼ全て“逃げ切りを図っている高齢労働者”です。彼らはここを見て頂ければ分かるとおり、自分の取り分を減らされる事に大変な抵抗を試みる階級です。JAL本体が傾こうが、現役世代の方が身を削ろうが、自分の取り分を削るのはけしからん!と、激しく抵抗しました。しかしそれは仕方ありません。右肩上がりの賃金カーブを基に、ローンやら投資やら老後設計やらを託して来たので、突然「右肩ではありません。来年から支払い大幅カット!」と言われても、そんなの対処できないのです。あなたがローンを組んだ瞬間に「君、来月から給与半分で昇給なしだから」なんて言われたらたまったもんじゃありませんよね。

ですので、“逃げ切りを図っている高齢労働者”よりも、もっと若い中堅所の割合を減らす方が労力が少ないのですが、彼らは企業の主柱であり、そこを削る事は大変なリスクを背負います。優秀な幹部候補が他社に転職されてしまうと、その企業の失損は計り知れないものになります。

ゆえに、より若い世代、もっと言うと、新人枠や非正規社員枠を抑えざるを得ないのです。昨今、非正規社員も解雇や減給は厳しく規制されようとしているので、結果的に新人が抑えられるのです。そして、定年の延長すら叫ばれている状況で、より新人の採用は抑えられていくのではないでしょうか。


今は質が良ければ、内定を取れますが、新人の人件費枠が無くなれば、どんなに素質を持っていても採用は不可能となります。そんな日が来ないことを、正社員(既得権の上にいる)の私は祈っています。