入社おめでとう!
※「10年前の自分へ」というカテゴリは、10年前の自分に対して、今の自分が送るメッセージです。当時私は大学新卒で大企業に入社したての頃でした。
入社おめでとう!!ONIKUMAよ!
お前はそっこーで終わった新入社員研修に戸惑いつつも、今社会人の第一歩として歩みだした頃だと思う。
電話取るのもドッキドキだよなぁ!!
先輩に1日30回位質問しまくってる最中だよなぁ!!
年上の女性パートがいきなり部下に付いてびっくりしてるよなぁ!!
面接官の人事課長が入社と同時に退社して、それにもびっくりしてるよなぁ!!
そんなお前に鬼人事がレクチャーしてやるからな。よ~く聞いとけ!
就業規則は端から端まで読め!
就業規則、賃金規定、旅費規程、規程、規程、規程、、、
お前はすげー避けてると思う。いわゆる法律系が大嫌いだもんな!!
でもな、就業規則は必ず穴が空くほど読んどけ。
お前は就業規則を「会社の決まり=校則みたいなもの」と勘違いしてると思う。
けどな、実際は就業規則は「会社の決まり=従業員の権利の章典」なんだ。
会社にとって有利な権利や従業員の義務ってのは、皆教えてくれる。
始業時間とか、懲戒規定とかな。
だけどな、会社にとって不利な義務や従業員の権利ってのは、先輩自らは教えてくれん。
旅費規程には「泊まり勤務手当」とか「出張手当」とかあるが、先輩は聞かれなければ教えてくれないぞ!
お前は女じゃないから関係ないが、通称「生理休暇(しかも有給!)」なんてものもあるんだぞ。
でもな、お前の居る会社は部門ごとの独立採算だから、経費が掛かることはあまり教えてくれないんだ。
社長が「従業員は働かせてナンボ」な考え方をしていたら、「従業員を休ませる義務」的なものは先輩サラリーマンは教えてくれないんだ!
だから、自分で速攻調べるんだ!!全身全霊全力で自分で調べろ!!
学校じゃないんだから、向こうから自分に有利な権利を教えてくれたりはしない。
っていうか学校ですら生徒に有利で、教師に不利な規則は教えてくれなかっったじゃないか。
だから自分の権利は調べ尽くすんだ!っていうか、自分で調べるしかないんだ!
ナメられない社員になれ!
労働者の権利はだいたい会社の義務と表裏一体だ。
だから、労働者の権利を知らないでいると、会社は平気で義務を怠ってくると心得よ!!
・始業前の朝礼なんか朝飯前だ!
・終業後のサービス残業なんて昼飯前だ!
・有給消化に対するプレッシャーなんて晩飯前だ!
だから、労働者の権利を全力で調べあげ、会社の義務を熟知するんだ!
会社の(従業員に対して果たすべき)義務を全力で調べあげたうえで、ただしこれだけは守れ!
むやみやたらと権利を主張はするな!
むやみやたらと権利を主張する奴で仕事が出来たり尊敬できたりする人間を、俺は一人も見なかった。
恐らくこれからも一人も見ることはないだろう!
だから、むやみやたらと権利を主張する事は控えろ!
そして新人のうちは力を蓄えるのが正しく、たくましい方法だ。
だが、権利は主張しない代わりに
「会社の(従業員に対して果たすべき)義務は知り尽くしていますが何か?」
な態度は決して崩すな!
例えば、「朝礼やるから出てこい!」と言われたら
「その言い方ですと出勤命令となりませんか?^^;」と一言聞いてみるんだ。
「朝礼では私的な要件でなく、業務内容について打ち合わせをするんですよね?^^;」と聞いてみても良い。
要は「こいつは労基法や就業規則を知り尽くしている底知れぬヤツ」と上司に思わせれば正解だ。
だが、何度も言うが、むやみに権利を主張する事だけはするな!
「始業時間は9時なので、朝礼はそれ以降にお願いします。」はNGだ!
ヒヨッ子ぴよぴよな新入社員如きが権利を主張してくる事ほどめんどくさい事はない。
めんどくさい奴は先輩にシカトされて終わりだ!
そういう奴に先輩は必要な情報すら与えてくれなくなる。
いちいち権利を主張してくる奴に情報を与える奴は居ない。
そうなると困るのは自分だ!
「知らせてくれなかった」と先輩を責めても良いが、先輩と自分との市場価値を比べると
先輩を責めると断罪されるのは自分だ!
そこは学校ではない。会社だ。利益を出す者のユートピアだ。
逆を言えば、会社とは利益を出さない者にとっては地獄なのだ。
だから、自分より利益を出している先輩に不用意に嫌われてはならないのだ。
だから「自分の権利は知ってるけど妥協や配慮は人並み以上にできるヤツ」と先輩に思わせる
そして、好かれないまでも、嫌われない。ナメられない。それが目指すべきゴールだ!!
労基法は気合・鬼合・喜愛で学べ!
就業規則を隅々まで読む事でナメられないお前の人生がスタートするんだ!
「会社(というか先輩)は義務を無視してオレに命令してきてる。けど大人なオレは甘んじて受け入れるぜ!」
そういう境地に立てればもうほぼ完成だ!
そして更に完成させるために、労働基準法を極めろ!
気合・鬼合・喜愛で学べ!
労働基準法、略して労基法は、お前の「権利の大章典」だ!
その威力はいかなる企業・いかなる経営者・いかなる先輩より
圧倒的に強いんだ!
就業規則は「なんちゃって従業員代表者*1」の合意で経営者の恣意的に改変する事が出来る。
社内の労働組合があれば別だが、労働組合のない会社の就業規則は経営者の恣意が多分に入っていると心得よ!
そしてその恣意が、善意*2か故意か、この権利の大章典を犯している事がままある!
特にワンマン一族経営企業やカリスマ経営者が居る企業、未上場企業、サラリーマン人事*3が居る企業は要注意だ。
就業規則(や賃金規定など諸規定)が労基法を全うしている、なんて甘い考えを棄てるんだ!
権利を侵害されている。そしてそれに気付かない。どころか、後輩の権利も侵害する(経営者による権利侵害に加担する)
そんな人材になりたいのか??嫌だろう?!!
だから全力で勉強して、全力で自分の権利を認識するんだ!
まずは、認識だ!
そして次に、妥協だ!
妥協ラインは自分で決めろ!相手に妥協ラインを決められるな!
主導権を握れ!
労働契約を含め、契約事では主導権を握った方が常に勝つのだ!
「労基署に駆け込めますが何か?」
「当社の規則が労基法○条に違反していることを知ってますが何か?」
「労基法違反による少額損害賠償請求できますが何か?」
これらは交渉の主導権を握るための重要なカードだ!会社に好き勝手やらせないための、言うならば抑止力だ!
だが、何遍も同様なことを言うが、抑止力はチラつかせるからこそ抑止力だ。
お前みたいな専門知識もないぴよぴよな新人が即行使する愚は絶対に控えろよ!
抑止力であるはずの核ミサイルを本当に敵対国にぶっ放してみたらどういう状況になるか。
お前ならそれを想像できるはずだ。
以上だ。
お前は「おっさんの偉そうな説教」と思うかもしれない。
だが、権利を知らない・知っても妥協しない労働者がどういう末路を迎えたか、人事として10年近く見てきたんだ。
お前にはそういう悲惨な末路を迎えてほしくはない。
自分で武装するしか無いんだ。会社に敵対されたら、同期も同僚もだれも助けてくれない!
会社とは「敵対しない」と同時に「ナメられない」、適度な距離感が大切だ。