上司に好かれても出世できない人、嫌われても出世出来る人
世の中には驚くほど速く出世する人と、驚くほど出世しない人に分かれます。出世する人の共通点はそれぞれ状況によって枝葉は違うと思いますが、太い部分では一致していて、それがだんだんみえてきました。
職場では良い人で人気者で同僚へのお土産とか欠かさない人なのに、なぜか万年平社員の人。とっつきにくくどちらかといえば嫌われ者なのに、なぜか出世をする人。
「普段の彼(彼女)の態度を見て昇進とか決めてほしい!」と嘆いている人も多いと思います。・・・が、上司はたいてい普段の彼の態度を見て昇進を決めていますよ。
ではどんな態度を評価して昇進などを決めているのでしょうか。
その詳細をこれから説明するわけですが、それは単に「相性が合う」とか「仕事のやり方が同じ」とか「任された仕事をしっかりやる」とかではありません。
もちろん「上司が部下の事を個人的に好きだから」というものでもありません。
価値の無い仕事を上司から積極的に奪う部下が出世する
これです。ほんと~~~にこれだけです。
どういう事かを説明する前に、「仕事の価値」というものを理解しなければなりません。
仕事の価値とは、
- どれだけ売り上げを挙げるか
- どれだけ経費を圧縮できるか
- どれだけお金を調達できるか(信用を得られるか)
で判定されます。
お茶くみのような雑用から、コピー機の入れ替え、就業規則の改定、取締役会に至るまで、すべてこの3つの尺度で仕事の価値は図れます。
取締役会は取締役の選定や株式にかかわる重要事項を決定しますので、売上・経費・調達のすべてに大きな影響力を与えます。つまり、それだけ価値が高い仕事です。
一方で、お茶くみは売上・経費・調達に影響は与えども、それは比較的小さく、よって価値が低い仕事と言えます。
もう少し端的に言うと、それを失敗したとして、どれ位売上・経費・調達に影響があるかが仕事の価値だと思ってください。
お茶くみは失敗したとしても、お客様に土下座して謝れば多少は挽回できますし、最悪そのお客様と縁が切れても、売上すべてを持っていかれるわけではないです。
一方で、取締役会で変な社長を選任してしまったら、もしくは、変な企業へ株式を譲渡してしまったら、1年経たずに会社が傾いてしまう事も十分あり得ます。
ここまで良いですか?
さて、上司が抱えている仕事は、部下より、平均値では高い価値を帯びています。しかし、あくまでも平均値であって、何が何でも全て高い価値の仕事ではありません。
たとえば、就業規則の改定は非常に価値の高い仕事ですが、その仕事の中でも価値の最も高いのは「内容の作成」であり、一方で「内容の周知」は比較的価値は低いです。
だから、部下としては積極的に「内容の周知」を引き受け、上司には「内容の作成」に注力してもらうのです。そうすれば、部下は必ず上司に好かれます。
どんなに感情的に嫌われていても、ウマが合わなくても、価値の低い仕事を上司から奪う事を続けていれば、必ず出世します。
理由を説明しますね。
仕事というのはチームで成果を出す事です。誰か一人が成果を上げても他が下がれば意味がないですし、チームでの成績を上げるために一人が犠牲になるのは仕方ないです。
野球でいえば、極めて優秀でも監督に逆らうピッチャーや打者は干されますし、点を取るために個人を消して犠牲フライとか送りバントも普通にします。
チームが成果を出すためにはどれだけ価値の高い仕事を、いかに正確にしていく事が肝心です。そして価値の高い仕事ができるのは、チームでは上司だけです。*1
つまり、部下が上司から価値の低い仕事を奪えば奪うほど、上司は価値の高い仕事に取り組む時間と思考が増え、結果として価値の高い仕事に対するクオリティが上がります。
時系列で書くとこんな感じです。
- 部下が上司の価値の低い仕事を奪う →
- 上司はより価値の高い仕事に時間と思考を割けるようになる →
- 上司が取り組む価値の高い仕事のクオリティが上がる →
- チーム全体として仕事の価値が上がる
実際私は「始業時間前に会社に出勤しない」という態度を貫いていますから始業ギリギリに出社しますが、それを上司が面白くないと思っているのも知っています。感情的には上司にあまり好かれていないだろうなーとも感じています。*2
しかし、価値の低い仕事を上司からどんどん奪おう!という態度で仕事をする結果、役付きと共に上司の一番近くの席に移動する事になるのです。
価値の無い仕事を増やす部下は最悪
反対に上司に価値の低い仕事を押しつける、価値の低い仕事を生む部下は最悪です。
- たとえばお茶汲み・来客対応を上司にやらせてしまう。
- 書類の印刷や集計、整理整頓を上司にやらせてしまう。
- 部下の電話対応の拙さのせいで、お客様のクレームを生む。
あなたはそういう事を上司に依頼もしくはフォローされていませんか?
こういうチームは生み出す仕事の価値が著しく低いです。そこでは上司は価値の低い業務に携わらずを得ず、結果として上司の評価も、チームの評価も上がりません。
「こんな仕事をやってる場合じゃないんだけどな・・・」と上司は常々思っているはずです。上司も分かっています。ですが、部下がそういう価値の低い仕事をどんどん持ってくるため、どうにもならないのです。
もし、特定の部下だけにこのような兆候が見られた場合、上司はその部下を無視し排除する方向に動くはずです。趣味や嗜好の相性がいくら良い部下であったとしても、価値の低い仕事を持ってくる部下に対しては、上司としては遠ざけようとするのは当たり前です。
あなたの周りにもいませんか?
めんどくさい雑用を理由を付けてひたすら拒む人。そして仕方なく周りが仕事を肩代わりした事に対して「仕事しなくてラッキー」と思っている人。
女性だけに限った話ではないですが勤続年数の長いお局さん的な人に多いですね。彼らは雑用を拒む事と引き換えに、出世やチーム内での待遇を完全に失っている訳です。
めんどくさい雑用ほど価値の低く誰もやりたがらない仕事はないです。それを部下が拒んで、結果的に上司にその仕事が行ったら最悪です。確実に上司から嫌われる部下になるでしょう。
上司が以下の言動をとって来た場合には要注意と思ってください。*3
- 質問をしたら「それくらい自分で考えらんない?」と言われた*4
- 雑用を振られなくなった。もしくは、自分を素通りして別の人に雑用を振るようになった*5
- 仕事のやり方を聞くと「あー大丈夫。やっとくから置いといて」と言われて、その簡単な仕事を奪われた*6
※文章の横の数字にマウスのカーソルを置くと、上司の心が読めます
こういう状況になったら確実に赤信号です。安穏としたサラリーマン生活は満喫できるかもしれませんが、チーム内で尊敬されたり、役職が上がったり、価値の高い仕事を任されたり、自分の下に有望な部下がつく事は絶望的です。
一生窓際族、真っ先にリストラ対象となるお荷物社員決定です。
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ちなみに、価値の高い仕事を上司から奪う事は慎重にしてください。
部下に価値の高い仕事を奪われた上司は、普通、より価値の高い仕事へ着手します。それはチームとしてより価値のある仕事へと処理能力がシフトしていく動きなので健全です。
しかし、上司に能力が無かったり、そもそもそんな仕事がなくて、より高い価値ある仕事へシフトしない場合には、上司からするとその部下は脅威に映ります。
当然、足を引っ張ってきたり、保身を図るべくその部下を切る事もあり得ます。