鬼人事クマさんのブログ

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ONIKUMAの叫び 〜統計は鵜呑みにしちゃだめ

みなさんこんばんは。

ネットをうようよ徘徊していたらこんな記事を発見。


日本人の7割強が「中国嫌い」 在日米軍基地「必要」が増えて6割に迫る

例えば、いくつかの国について、「好き」「嫌い」「どちらでもない」といった選択肢から評価してもらったところ、「好き」が多かったのが米国(49%)、ドイツ(48%)、韓国(31%)といった国々。逆に、「嫌い」が多かったのが、北朝鮮(94%)、中国(76%)、イスラエル(44%)、ロシア(同)だった。

各国の元首や首脳についても同様で、「好き」が最も多かったのが天皇陛下で70%。米オバマ大統領(41%)、メルケル首相(28%)が続いた。「嫌い」が多かったのは、北朝鮮金正日総書記(90%)、中国の胡錦涛主席(68%)、菅直人前首相(65%)、ロシアのプーチン首相(47%)だ。

え?っと思った部分を赤字にしてみました。


今回は、アンケートの類は「誰が抽出されているか」が極めて重要、と言うことを書きたいと思います。

■対象者は誰か
ある番組で「○大合格者の70%が契約しています」といううたい文句を掲げた不動産屋が紹介されていました。その言葉だけを信じていれば、その会社と不動産契約するだけで3回に2回以上は受かってしまうことになります。


これって本当??


ちなみに70%の合格率は競争率が1.5倍位です。当該大学はとても有名な大学なので、定員の1.5倍以上の学生に合格通知をださないでしょう。そして、実際の競争率は最も人気のない学部においても3倍はありました。足きりも含めるともっと高い競争率がたたき出されると思います。


単純にすべての受験者がその会社と契約をした場合、無作為抽出で選ばれた受験者がその会社と契約した場合、絶対に70%という数字は出ません。競争率3倍、定員1.5倍に合格を出すとしても50%です。ではなぜ70%という数字が出るのか。


嘘なのか?w


いいえ、嘘ではないんです。実は全受験者の内、「俺は受かってるだろう」という自信がある人が抽出されて契約していたので、そのような結果が返ってきたということです。
不動産契約といえば10万円以上の大金が飛ぶ、非常に高価な買い物ですので、全く受かった気がしない人は不動産契約をしませんよね。つまり、「受かる確率の高い者」を抽出した統計を行っていたということです。


・・・話が長くなりましたが、要は統計というのは統計の母体となる集団が必ずしもランダムに抽出されておらず、作為を入れる事は十分可能である。そして、統計のマジックにかからない様にするためには、母体の属性や抽出方法を注意深く探る事は非常に重要である、ということです。


■50歳以上の高齢者、家持ち、非サラリーマンがメイン
さて、例で取り上げた統計データの属性、抽出方法ですが、原本をみてみましょう。ザッと特徴を書き出してみます。


-50歳以下と50歳以上で1:1の構成日本の人口統計と比べると、引用記事の統計は50歳以上の者の割合が多く、高齢者の意見による影響が受けやすい
⇒あ〜だから、天皇を70%も支持してるなんて結果が出てくるんだね。と納得

-高卒以下が50%以上、大学卒以上は20%未満
⇒つまり、あまり高等教育を受けていない者をメイン集団としている。

-主婦18%、無職20%、パート12%で50%
⇒いわゆる正社員オフィスワーカーは少数派(多く見積もってもたった30%

-家持ち80%
⇒ローンを組んでの持ち家も考えられるが、正社員オフィスワーカーが30%しかいないこと、主婦や無職、自営業やフリーランスが60%も居ることを考えると、ローンなしで一軒家、もしくはマンションを所有している富裕層もかなり居るはず

-ほぼ固定電話を引いてる人が対象
⇒持ち家を持った世帯主か専業主婦など富裕層に対象が限定されやすくなる一方で、携帯電話しか持てない貧困層、固定電話の必要性を感じない独身富裕層が除外されやすくなります


以上を踏まえて考えると、「日本全体」というよりは「ある程度年を取った富裕層」の傾向と読んだほうが良いでしょう。「郊外の持ち家で夫婦で暮らす50代」がコア層となり、「都会の独身男性」や「田舎の農家」などはレア層と見る事も出来ます。


私のような「都会(育ち)の独身男性」が「?」と思う結果が出るのも当たり前ですね。


■マスコミの影響により、「中国嫌い」「在日米軍基地「必要」」が増える傾向に
怖いのはこの報告を受けた諸外国の日本に対する見方がどうなるかです。これは誤解を恐れずに言えば「日本人の総意」ではありません。たった20%しか大卒以上が居ない、主婦や無職者(多分年金生活者が大半)の回答率が高く、主流であるはずの正社員オフィスワーカーが30%も居ないのが理由です。

しかしながら、見る手がここまで冷静に、日本の統計グラフ等と併せてこの資料を分析するかどうかといえば、私はそうは思えません。日本人が「天皇を好意的に思っている」とか「韓国に親近感を抱いている」とか「中国をメチャクチャ嫌っている」とか真偽が定かではないメッセージを与える事には極めて敏感になってほしいと思います。


私であれば“日本人の7割強が「中国嫌い」 在日米軍基地「必要」が増えて6割に迫る”などと銘打って記事を書こうとはしません。“マスコミの影響により、「中国嫌い」「在日米軍基地「必要」」が増える傾向に”とします。


なぜならば50歳以上、主婦や無職、大卒ではない、となれば、失礼ながら、テレビや新聞の影響が非常に大きく、相対的にインターネットの影響は極わずかに留まると予想できるからです。そういう方の特徴として「韓国好き」「反中」「親米」に傾きやすい、とこの統計からは推測できます。


・・・まぁ本当の所はどうなんでしょう?ww
Gfkさんもなぜ“年齢別”とかの統計をださなかったのか、気になるところではあります。