鬼人事クマさんのブログ

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新卒採用の企業の利点

さて皆さんこんばんは!!

新卒採用はどげんかせんといけんわけですが、声高に「新卒採用枠を増やせ!!」とかまたは「新卒採用をやめるべきだ!!」など叫ばれても、全く意味を成しません。法律で徹底的に縛るというならまだしも、努力義務程度であれば、現行のまま行くでしょうね。

これだけ新卒採用が問題視されている中で、なぜ企業は今の形態での新卒採用をやめないのか。年功序列・職能評価型賃金に非常にマッチしているという理由は大きいですが、それ以外にも多数のメリットがあります。

考えられるメリットとは以下のとおりです。
 1.楽チン
 2.低コスト
 3.低責任
 ※大企業での意見です。中小企業ではその限りではないです※

楽チン

これが一番大きな理由ですね。


1.ナビなどシステム面で楽
リクナビ、マイナビ、エンナビ、日経ナビ、学情ナビなど色々な就活サイトありますけど、メチャクチャ楽チンなんですね。

例えば、ナビがない世界を考えましょう。

 1.エントリー ⇒ 葉書か自社HP
 2.ES    ⇒ 郵送か自社HP
 3.選考者管理 ⇒ エクセル
 4.選考の告知 ⇒ エクセルを基に自社メール

ひゃ〜〜〜めんどくさい!!ある程度の大手企業ですと、自社HP立ち上げて、ナビと同じような管理できますけど、中堅大手は自社HPにそういう機能持たせるだけで300万位かかりそうです。。。

そして、管理がエクセル・・・。これは超めんどくさいです。なぜなら、採用担当者のITスキルがバラバラだからです・・・。エクセルの非表示機能がわかっていない人が居ると、下手に関数や非表示機能なんて使えません。

その点、ナビの管理機能はすばらしいですよ。ここでは詳細を書けませんけれど(笑)

さすがにオジ様オバ様にも使い勝手が良いように、そして私のようにITスキルのソコソコある者にも十分な機能(例えばフラグメンテーションや一括更新など)も持たせています。

選考者の管理から、告知、エントリーシートの提出、エントリーまで、ひとつのシステムで全てできてしまいます。そしてもちろん、人事部の全員が共有できるのです!!これは考えた人(多分リクルートさん??)は神ですね。


2.母集団形成が楽
システムの面だけではなく、母集団の形成も楽になります。ここでも書きましたが、新卒一括採用は、大体3年生の10月〜4年生の5月で終了します。つまり、3年生の10月に学生さんがワッ!!とやってくるので、それに対して門戸を開いておけば良いだけの話です。

それとは対極にある中途採用では、1〜3月がやや多いもののいつ応募者が来るか分かりません。つまり、基本的には、いつも門戸を開けっ放しにして、応募者の推移を見張っている必要があります。とてもめんどくさいのです。


両者の動きをバーゲンセールでの集客に例えましょうか。

  • 新卒一括採用 ⇒ お客さんは、午後3時に一斉にバーゲンに雪崩込み、それ以外の時間はほとんど来ません
  • 中途採用 ⇒ お客さんは、昼にそこそこ来ますが、それ以外の時間帯も結構来ます。

あなたがこの店の店長であった場合に、どちらの購買層に対して物を売りやすいでしょうか。問うまでもないですよね。新卒一括採用パターンの方が物を売りやすいと思います。

中途採用のように散逸な動きではなく、画一的な動きをする新卒一括採用の方が圧倒的にお客さんを“扱い易い”んです。

低コスト

前の楽チンと連動する項目ですが、採用のコストは1人あたりにかける採用時間が長引けば長引くほど上がります。現状は新卒採用は中途採用よりも1人当たりにかける採用時間が圧縮できるが故に低コストな状況なのです。

採用コストには、大まかに次のようなものがあります。

 1.人件費(リクルーター、人事部、役員面接官)
 2.広告費(雑誌掲載費、ナビ、会社案内、会社説明会資料)
 3.会場運営費(説明会、面接会場、リクルーター面談室)
 4.営業費(有料説明会出展費、大学関係者との接待費、交通費)
 5.外部発注費(データエントリー費、紹介費)

この中で一番高くつくのが広告費と外部発注費、そして人件費です。

「2.広告費」は母集団形成にモロに関わってくるので、安ければ安いほど良いとはなりません。やはりここには力を入れてくる企業がほとんどです。

人事部の女性は美人が多くないですか??明らかに社員の中で上位のミテクレ重視な選抜をしています。美人でなくても、男性でも“清潔感ある”“まじめそうな”“自信に満ち溢れた”アクター&アクトレスな人(笑)を人事部に置いてくるはずです。

これはもちろん広告を意識しての結果なのですが、それ位企業は広告にはこだわっています。いくら優秀でも、不潔な社員やどこか不真面目そうなチャラチャラした人は人事部には置かず、能力が多少劣っても、ミテクレ重視でまじめな人を配置してきます。

次に「5.外部発注費」ですが、これは非常に大きいですが、削れば良いかと言えばそうでもありません

大体中途採用をリクナビNEXT殿のような紹介サービス経由で正社員を採用すると100万円〜500万円*1かかりますが、母集団形成から内定までのフォロー、内定後の調整までアウトソース出来ると考えれば、むしろ、年収の3割位のコストは安い位です。

ちなみに、新卒採用の場合は紹介費は一切かけずに100名採る事も可能です。1名2名ならば中途採用も新卒採用も経費はそれほど変わりませんが、大手銀行のように100名単位で採用する企業にとって見れば、紹介費=外部発注費がなくなるというメリットはメチャクチャ大きいです。

最後に「1.人件費」ですが、経費なので安ければ安いほど良いです。人件費圧縮のコツは、前項目の“楽チンである”の一言です。なので今より楽チンでないナビを使わない採用活動や、採用期間が延びるゆえに手間が増える採用の超超早期化はありえない*2訳です。

低責任

意外と見落としがちなポイントかと思います。人事部という生き物は、責任を取る事が嫌いで、同時に、ハイリスクを極端なまでに嫌います。*3

それもそのはずです。人事部の、特に採用担当の評価は、つまるところ採用した人材の成果で決まります。圧倒的に他力本願なんです。自分の飯の種を、採用する人間に委ねられます。これほど慎重になる=リスクをとり辛い評価制度は無いです。

人事部の具体的なリスクは以下の通りです。

 1.採用数を満たさない
 2.採用者が思ったほどの成果を出さない
 3.役員の気に入らない者を役員面接に送り込む

さて、一番大きな、責任を取らされるリスクは「1.採用数を満たさない」です。

昨今は採用数に満たないでも採用打ち切るなどと喧伝されていますが、実際は絶対に採用するべき数と、採用できればいいバッファとがあります。

人事部にとって最悪なのは絶対に採用するべき数が採用できなかった場合です。これは数字で出てしまう以上、猫の手も借りたいほどの業務量を抱えている現場から人事部は激しく問責されます。

だからこそ新卒採用なのです。新卒採用であれば母集団も比較的安定していますので、半年ほど現場に人手不足を我慢してもらえばほぼ確実に頭数が充足できます。質は求めない方向であれば(笑)

一方で、中途採用では60歳ばかりが応募してきて、応募条件を満たしている人0な状況にならないとも限りません。非常に母集団が不安定なのです。


「2.採用者が思ったほど成果を出さない」という項目ですが、実は1に比べるとこれは大した事ありません。なぜなら、言い訳を用意できるからです。

“東大卒だったので”
“役員が採用OK出したので”
“部署に配属されてからの教育が悪かったので”
“彼の家庭環境の急変で”など、

色々言い訳できますし、事実かもしれません。こういう言い訳を人事部はとっても好みます。

逆に言い訳のできない採用は、非常に嫌がります。

例えば、選考段階ですでに留年や成績不振など汚点がある場合は、“なんで成績不振者を採用したんだ?!”という問責に言い訳し難いです。

というわけで汚点がある者の採用は当然控える方向に動きます。

実際、中途採用は新卒採用と比べて汚点が目に付きやすいのです。既に“転職歴1社以上”という汚点を持っています(これから持つ)し、それ以外にも過去に一つや二つ汚点を残している方がほとんどですからね。歓迎されません。

汚点が一つ以上あるなら、いっそのこと職務経歴書は真っ白が良いのです。人事部が問責される原因がありませんからね。。。


「3.役員の気に入らない者を役員面接に送り込む」は日常でよくやってしまう過ちです。そのたびに役員の人事部に対する評価が下がります。

人事部は役員から評価を受けるサラリー部署なので、それは非常に困るというわけです。で、ここでも言い訳です。

実はここで学歴というものが非常に武器になる事があります。

例えば役員が早稲田卒であれば、「点数は平均クラスですが、早稲田の政経卒(役員と一緒)なので優秀かと思いまして…」という角の立たない言い訳ができます。

就活ナビは学生がエントリーさえして頂ければ、こちらから早稲田の政経卒見込みへメッセージを送信する事が可能です。その際「弊社役員も早稲田の政経卒!相性抜群です!」の様な事をうたえば、結構反応があるものです。

そのようにしてメッセージを送り、反応を得て、一本釣りして役員面接に上げる。そうすれば、役員が気に入らない者を面接に送り込むリスクは圧倒的に少なくなります。

しかしながら中途だとそうは行きません。もともと母集団も少ない上に、学歴で絞ったメッセージ送信は非常に困難です(やれない事はないですが・・・)。


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以上、色々書きましたが、今の新卒一括採用がいかにメリットが大きいか、そしてナビというものがいかに有用かはわかっていただけたかと思います。

しかし、予想するに、ナビはなくならないまでも、新卒一括採用(スキルなしでも内定取れる制度)はなくなる可能性はあります。今のうちに新卒一括採用の特権を生かして、頑張って就活してくださいネ。

*1:採用の年収とサービス会社によって異なる

*2:就活の早期化は採用活動が苦しい中小企業・不人気企業が“仕方なく嫌々ながら”早期化せざるを得ない状況がある

*3:え?どこの部署のサラリーマンも一緒?ですって??