鬼人事クマさんのブログ

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もういっそ、倫理憲章もなしでw(2)

さて、皆さんこんにちは!
熱々熱々な日々が続いていますが、クーラーのない私の部屋の中はまるで地獄のようです。扇風機がなければ本当に死ぬんじゃないかと思うくらい・・・。


前回は「倫理憲章なんてなくしちゃえ!」と過激な発言をしましたが、その根拠を説明するですよ。


■利点
まずは経団連というのは中小零細企業も入っているようですが、日本有数の大企業=採用勝ち組企業*1=待っていても学生の応募が殺到する企業が中心という点はぜっっっっっっっっったいに認識しておいてくださいね!!さて、倫理憲章の利点は以下のとおりです。

  1. 大学生の(3年次の)学業に差し支えない
  2. 企業が対外的に「我々は採用の早期化を望んでません」とアピール出来る
  3. 選考期間が短くなる分、就活期間・採用期間が短くなる
  4. 3年の冬まで部活動していたり、留学している者への機会均等


まぁこんなところでしょうか。それ以外になんかあったらご意見ください。


1.大学生の(3年次の)学業に差し支えない
これが一番大きな理由でしょう。学校側もそれを強く望んでいます。
いまだに「大学は学問をする所!就活など優先するな!」というトンチンカンな発想をする教授も多々居りまして、そういう教授がゼミで当たりますと、最終面接の日にもゼミの講義を優先という恐ろしい決断に迫られる訳でして、本当に学生の未来、大学の未来を考えているならば、「学生が卒業後に飯が食えるか」「フリーター化しないか」や「来年受験者数が伸びるか」といった学生・大学存続に関するファクターよりも「教養を身につけるべし!」という発想の件の教授は・・・(以下略


話を戻します。そういうトンチンカンな発想をしている教授から各大学の就職部や教務課は「就活なんとかせーや!!」というプレッシャーを日々受け続けています。
たしかに「なんとかしないといけない」というのは私の一言プロフィールにも書かれているように同意できるのです。なので「4年生から就活開始、10月から内定」というのは早期化しすぎないように“歯止めをかける”という点では一定の効果を期待できます。


しかし4月から一斉に選考開始になると、4月は教室ガラガラになりませんか?
今の学生は昔のように“はがきで資料請求”なんて、非効率なエントリーをしていません。“マウスでクリック”で選考会へエントリー出来る時代です。現状は3年生の10月から各企業ほぼ一斉にエントリー開始しますが、その月のエントリー数が就活全体通して一番多いのです。4月から一斉にエントリー開始になると、エントリーしまくる時期が4年生の4月にずれ込むだけです。
更には現況では3年生が企業にエントリーしても、自社の説明会(選考要素が無い=志望するなら絶対受けないといけない物ではない)に出られる程度ですが、4年生の4月からエントリーならば当然選考(=志望するなら絶対に受けないといけない)が入ってくる事が予想され、更にエントリー作業は激化します。しかも選考会には“枠”があり、全員が選考を受けられるわけではありません。
志望企業の選考会を受ける為に3月31日23:00位から「F5キー(更新)を連打する」学生が日常茶飯になるんじゃないかな。


どうでしょうか。4年生の4月は教室ガラガラになりませんかね???
なるとすれば、結局4年生の学業に差し支えるようになっただけで、学業に差し支えるという点は一向に改善されていない結論になります。



2.企業が対外的に「我々は採用の早期化を望んでません」とアピール出来る
これは言わずもがな。こういう企業のメリットを享受するために学生を“ダシ”にする姿勢は甚だ許しがたいものと個人的には考えています。



3.選考期間が短くなる分、就活期間・採用期間が短くなる
これは企業に大いなるメリットが存在する一方で、学生、特に内定を“力ずく”で採ろうとする学生には、まったく不利益になります。
では何が不利益なのか?採用期間が短縮する分、就活の密度が濃縮してしまうからです。一般的な就活生の話では


<現状どの企業にも言えること>
100社エントリーして30社受けて、2〜3社内定


ところが期間が短くなるのでとりあえずエントリー数は半減します。そして面接を受けられる企業数も半減します。
もちろん全員が同じ条件になるので、エントリーの半減は競争倍率を下げます。結果的に面接に合格する確率が上がるかもしれません。つまりこういうことです。


<倫理憲章徹底でどの企業にも言えること??>
50社エントリーして15社受けて、2〜3社の内定


おおお!!負担が減っています。交通費や就活にかかる時間などは明らかに半減です。
でも、でもでもでもでも、時間が半分という事は・・・凡人が大よそ採る戦略の「受けまくって、あたって砕けろ作戦」が通用しなくなるということです。就活は確かにご縁な所があるのであたって砕けろ作戦は一定の効果を生みます。しかし時間が半減してしまうので、あたるチャンスも半減です。
結果的に優秀な学生が得意としている「効率的な行動や情報収集」が益々勝敗を分ける要素になります。そして、優秀な学生さんは相変わらず「JTB」やら「博報堂」やらに殺到するでしょう。当然「効率的な行動や情報収集」の色合いが高まった戦いを強いられる訳です。つまりこういう事です。


<倫理憲章徹底で経団連に名を連ねるような有名企業の選考を受けた場合>
効率的な行動と情報収集が出来る人=企業がほしい人材 ⇒ 50社エントリーして15社受けて、10社内定
効率的な行動と情報収集できない人=企業がほしくない人材 ⇒ 50社エントリーして15社受けて、内定無し


<倫理憲章徹底で無名企業の選考を受けた場合>
効率的な行動と情報収集が出来る人=企業がほしい人材 ⇒ 時間無くてエントリー出来ない、0社内定
効率的な行動と情報収集できない人=企業がほしくない人材 ⇒ 50社エントリーして15社受けて、10社内定


あららら!!これなら30社受けている方がまだマシかもしれませんね。それとも無名企業での競争倍率が下がるので、嬉しい事かな??
受ける企業の財務諸表や経営理念、職種などを調べもしないで「就活って縁だよね〜〜」と結論付けている学生さんは、この憲章のおかげで採用負け組み企業に益々受かり易くなるです。


企業側のメリットはずばり採用業務の期間が短くなるです。
プロジェクトは成果とコストの兼ね合いです。ダラダラと採用を続ける事はコストの上昇を招きます。かといって採用の長期化は必ずしも成果に結びつきません。むしろ採用は採用シーズンの後半になればなるほど質のよい学生の割合は減っていき、費用対効果が益々見込めなくなります。
つまり、早めにガッ!!と集めて、短時間でガッ!!と絞って、すぐに終了!!が一番費用対効果が大きいのです。そして、採用勝ち組企業は基本的にそのスタンスです。なので4月に大量の学生が一斉に就活をスタートさせる状況というのは、非常に効率が良く、4年の4月〜5月だけ集中的に資本を投下すればいいのです。現状は3年の10月より資本を投下せざるを得ず、翌年の4月〜5月まで恒久的に続きます。


ねね?これが本音じゃないの?という気がしちゃいませんか??
あ、ちなみに上記はCMとか広告とか莫大な資本を投下してガッ!!と学生を集められる超大企業限定なので、ガッ!!と学生を集められない採用負け組み企業にはむしろ足枷となります。優秀な学生が採用勝ち組企業に目が行く前に“青田買い”をする期間が無くなるからです。だから倫理憲章に採用負け組み企業はなかなか調印しないのでしょーう。



4.3年の冬まで部活動していたり、留学している者への機会均等
これは個人的には重要な視点と考えます。ただし、今の倫理憲章では全く意味が無いけどね。3年生での長期留学や、部活動に熱心に取り組んだ場合、就活での成功はあきらめてくださいというのが今の現状です。留学や部活動に熱心に取り組む者は、言わば、自分の意思で道を切り開いた者、ある程度の困難に打ち勝った者です。それが実績として保障される存在です。企業側からしたらまさしく期待値の高い学生層なのです。しかし、如何せん、彼らが就活を始める4年生の夏以降は本格的な採用シーズンは終焉しています。そして秋採用といわれる、若干の留学生枠や部活動枠、公務員試験落第枠を巡って熾烈な争いを繰り広げます。
春にその他大勢の就活組と一緒に就活をしていれば、余裕で内定を取れていたであろう質の高い学生を、“枠がない”という理由で不採用にしていいのでしょうか。日本企業の新卒採用の歪みがこういう所にも出ています。



このように、倫理憲章の目的である“採用の健全化”を図れるかどうか、そして教授や学校、学生からの要望が強い“学業に差し支えのない就活”を達成できるかは甚だ疑問です。
ちょっと疲れたので、本題の「なぜ倫理憲章をなくせばいいか」は次回(←おい!!)
では、ごきげんよう!!

*1:採用勝ち組企業とは、主に学生に人気があって、応募者が殺到するような企業です。学生の人気なのでCMを流したり、コンビニに企業名が表示されるBtoC企業が圧倒的に強く、BtoB企業が圧倒的に不利です。つまり実際に経済で勝ち組企業なのかとは“全く”相関がありません。たとえば、日本碍子や荏原工業などの世界的にも独自の技術を持っている超優良企業も、企業規模からすると学生の人気は無く、採用負け組み企業になります。