鬼人事クマさんのブログ

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面接の達人は居ても、面接官の達人は居ない

面接の達人と言う本があります。

面接の達人2018 バイブル版 (MENTATSU)

面接の達人2018 バイブル版 (MENTATSU)

久しぶりに書店で立ち読みしました。面接官だったころは毎年必読で、受け答え丸暗記型の学生に対して「その志望動機、メンタツ(面接の達人の略称)まんまだね?」といじめ・・・いや、鋭角な質問で受験者の心をえぐったものです。

これを見ると「本当に学生さんは大変だなぁー」と思う一方、私が就活生だった頃と何も変わってない就活の現状に絶望的になります。具体的に何を絶望しているかというと、そういう現状そのものではなく・・・

今の就活スタイルに疑問を感じ、改善をしないセンパイ人事達

です。

ここ10年で本当に何も変わってないです。恐らくですが、リクナビが出来てから、20年程全く変わってないと思います。

それは50年続いている終身雇用と年功序列の上で、「就活は洗練されつくした」と言う人も居ると思いますが、私は現在の就活は全く洗練されていない、極めて生産性の低いシステムだと思っています。

今回は、鬼人事から見て、どの点を絶望したのかを記します。

絶望その1:面接1発勝負のフローを改善しない

面接の達人Web記事にも以下のように書かれています。

じっくり話してみると面白い人材なのに、10分間の面接で、自分を売り込むとなると、さっぱりよさが伝わってこないのだ。
-中略-
たかだか10分やそこらで人間を判断されてはたまらない、と君は言うかもしれない。
そういう人はサラリーマンには向いていないから、ペンションでも経営したほうがいい。
ビジネスの現場では10分で商談を進めていかなければならないのだ。

現状での面接では確かにその通りです。人気企業であれば10分かそこらの面接で採否を決定します。

でも、それ、本当に良いの?

企業は大事な商談を10分のプレゼンのみで進めたりはしません。サラリーマンの生涯賃金が2億円とすると、40年で2億円の投資案件に対して、10分×3回のプレゼンで全てを決めるなんて無謀なフローは設定しません。

実際に投資案件をコンペで決める場合

  • 企業担当者が、複数回、候補企業とのミーティングを重ね
  • 企業担当者が、候補企業の情報収集をし
  • 候補企業が、企業担当者へ、数十ページの企画書を複数回提出し
  • 企業担当者が、莫大な費用を掛けて与信調査し
  • 企業担当者が、役員への説明の為の内部資料を作り
  • 複数の候補企業が、一同に会議室に集まり、コンペを行う

位のフローは最低限設定するでしょう。

確かに最後のコンペで与えられる時間は10分かもしれませんが、候補企業はそれまでに複数回、それこそ数時間かけて企業担当者と会っていますし、候補企業からA4で100枚超の莫大な量の提案書を企業担当者は受け取っています。

もし、就活スタイルで2億円の投資案件をコンペで決めるならば

  • 企業担当者が、候補企業の情報収集をし(ただし履歴書・ESと同程度、つまり、パンフレット程度の情報)
  • 企業担当者が、役員への説明の為の内部資料を作り(ただし面接評定票と同程度、つまり、A4で2枚)
  • 複数の候補企業が、一同に会議室に集まり、コンペを行う
というフローになります。


これ、実際にやったら役員からブン殴られますからね(笑)


「こんなA4で4,5枚の情報ぽっちで判断できるわけないでしょ!」
候補企業とどれ位ミーティング重ねたんだ?・・・30分?ヤル気あるのか!!」
「2億円の案件だよ!?分かってる?!」
ビシッ!バシッ!ドカッ!(笑)

就活スタイルというのはこんなずさんな状態な訳です。それなのに、学生に対し「面接10分1発勝負で自分を売り込めなきゃサラリーマン失格だ!」なんて、私から言わしてもらえば「そんなフローで2億円の投資案件を判断する採用担当こそサラリーマン失格だ!」です。*1

こういうサラリーマン失格な採用担当がうようよいるせいで、以下のようなリスクが放置されています。

  • 本来なら非常に優秀な人材だが、1発勝負で緊張した人を低評価するリスク
  • 実務能力が劣り、プレゼンテーション能力(容姿含む)に長けた人材を高評価するリスク
  • プレゼンテーション能力が比較的不要な事務職や研究職に対して、その能力が評価に深く相関するリスク

結果的にリスクは顕在化し毎年相当数の受験者が正しく評価されずにいるから、メンタツが毎年のように売れ続けているんじゃないでしょうか。

例えば共通一次面接会を実施すれば、これらのリスクは相当程度減らせると思いますが、企業はそういう事をキチンと考えてる?と絶望するわけです。

絶望その2:メンタツ本は多いが、メンセツカンタツ本は少ない

面接の達人をメンタツと呼ぶならば、面接官の達人すなわちメンセツカンタツはあるのでしょうか。

Amazonで「面接」と入力して、本を検索した結果がこれです。
Amazon CAPTCHA

  • 就活生向けの面接本 24冊中、15冊
  • 面接官向けの面接本 24冊中、5冊

※学校面接など就活以外が4冊

面接は高度なスキルが求められますし、新卒で1人2億円、10人新卒採用したらの20億円の40年投資です。それなのに、メンセツカンタツが比較的求められていない事実・・・。

学生の方がよほど確りと就活に対して「仕事」しているように思えるのは私だけでしょうか。

かく言う私は面接官になる事が決まった時、メンセツカンタツを3冊程買い、そこに書かれている心理学的な素養を得る為にロジャーズとマズロー心理学の本、フットインザドアー・クローズドクエッションと言った会話法を学ぶ為の本、あとは面接のタブー*2を記した小冊子などを購入したのを記憶しています。

このように面接官たる者全てがメンセツカンタツを買い求めれば、もっとAmazonがにぎわうと思いますが、現実にはそうなっていません。書店に行ってみると、その差は恐ろしいほど顕著です。

私自身が就活・転職活動を通して、これまで数十人の面接官*3に会いましたが、しまった!見抜かれた!スゲー!と尊敬できる面接官は20%程で、60%は印象操作と籠絡が可能な普通レベル、20%は入社意思を削ぐような面接官失格レベルでした。

これ、「入社後に自社で育てるから、採用した新卒者が最低限レベルの素養を持っていればぶっちゃけ関係ない」と考える人事と、「退職した新卒入社者と採用活動との関連性」を深く考えない経営者が多いからだと思いますが、本当にもったいない事です。

メンタツを読んで、確りと自分をアピール出来るように準備する就活生を企業が望むのと同じレベルで、メンセツカンタツを読んで確りと受験者の本質を汲みとれる準備をする面接官が望まれるべきだと思います。

---

以上、絶望理由を挙げたわけですが、つまり「面接の達人は居ても、面接官の達人は居ない」「本気で就活に励む就活性が大勢いる一方で、本気で採用業務に励む企業が少ない」という状況が容易に推測できる状況に絶望しているわけです。そこに大いに無駄やリスクがあるだろう、と。

しかし、そもそも面接官が達人にならなくても十分に応募者を選考できる、応募者も面接の練習などしなくても的確に評価されるという仕組みこそ目指すべきです。

そう!それが共通一次面接会なのです!

*1:あ、誤解のないように言っときますが、メンタツの著者を悪く言うつもりはないです。著者レベルで就活を分かっている方なら当然私と同じような就活の問題点も把握されていると思いますし、おそらく著者としてのポジショントークがあると思いますので

*2:新聞の購読状況や出身地を聴くのはNG、家族構成を聴くのはNG、など

*3:人事以外にも、現場担当者や役員も含まれます

イスラム教徒は全員テロリスト?

  1. イスラム教徒の誰がテロリストか分からんから鎖国して締め出すわ。国なら他にもたくさんあるんだから、別の国に行けばいいじゃん。
  2. テロリストのほとんどがイスラム教徒なんだから、自由権を制限されてもイスラム教徒はそれ位我慢しなさいよ
  3. 特定の宗教に対する鎖国イスラム教徒に対する差別だって?ちっせーこと言うなよ。大体根本はイスラム教徒がテロ起こしたのが原因なんだから、イスラム教徒は反省しろ。
  4. 「僕はイスラム教徒だけど、テロリストじゃないよ!偏見の目で見ないでください」「はぁ?イスラム教徒って大体そんなもんだろ?」
  5. イスラム教徒が国に居たら、「いつテロを起こすか分からない」と不安に思う人が多いんで、イスラム教徒全員国外追放賛成です。
  6. イスラム教徒の犯罪率は他宗教と比べて高いので、イスラム教徒全員入国禁止にしましょう。
  7. 犯罪に遭わないように、スラム街には行かない、家には施錠して防犯に努めましょう。「はぁ?どうして被害者が気を付けなきゃならんの?犯罪は犯罪者の責任だろ?!大きなお世話だ!」

イスラム教徒→男性、テロリスト→痴漢、国→車両

  1. 男性の誰が痴漢か分からんから車両から締め出すわ。車両なら他にもたくさんあるんだから、他の車両に乗れば良いじゃん。
  2. 痴漢のほとんどが男性なんだから、(どの車両にも乗れる、プリクラエリアに入れる、レストランに入れるという)自由権を制限されても男性はそれ位我慢しなさいよ
  3. 男性だけ車両から締め出すのは男性差別だって?ちっせーこと言うなよ。大体根本は男性が痴漢するのが原因なんだから、男は反省しろ。
  4. 「僕は男性だけど、痴漢するような人じゃないよ!偏見の目で見ないでください」「はぁ?男って大体そんなもんだろ?」
  5. 男が自分の乗ってる車両に居ると「いつ痴漢をするか分からない」と不安に思う人が多いんで、男性全員女性専用車両から追放する事に賛成です。
  6. 男性の痴漢犯罪率は女性と比して高いので、男性全員女性専用車両に乗車禁止しましょう。
  7. 痴漢に遭わないように、若い女性は極力女性専用車に乗り、華美な服装を控え、夜道に気をつけ、防犯に努めましょう。「はぁ?どうして女性被害者が気を付けなならんの?痴漢は男性の責任だろ?!セカンドレイプだ!」

並べてみます

  • イスラム教徒の誰がテロリストか分からんから鎖国して日本から締め出すわ。国なら他にもたくさんあるんだから、別の国に行けばいいじゃん。
  • 男性の誰が痴漢か分からんから車両から締め出すわ。車両なら他にもたくさんあるんだから、他の車両に乗れば良いじゃん。

 

  • テロリストのほとんどがイスラム教徒なんだから、自由権を制限されてもイスラム教徒はそれ位我慢しなさいよ
  • 痴漢のほとんどが男性なんだから、(どの車両にも乗れる、プリクラエリアに入れる、レストランに入れるという)自由権を制限されても男性はそれ位我慢しなさいよ

 

  • 特定の宗教に対する鎖国イスラム教徒に対する差別だって?ちっせーこと言うなよ。大体根本はイスラム教徒がテロ起こしたのが原因なんだから、イスラム教徒は反省しろ。
  • 男性だけ車両から締め出すのは男性差別だって?ちっせーこと言うなよ。大体根本は男性が痴漢するのが原因なんだから、男は反省しろ。

 

  • 「僕はイスラム教徒だけど、テロリストじゃないよ!偏見の目で見ないでください」「はぁ?イスラム教徒って大体そんなもんだろ?」
  • 「僕は男性だけど、痴漢するような人じゃないよ!偏見の目で見ないでください」「はぁ?男って大体そんなもんだろ?」

 

  • イスラム教徒が国に居たら、「いつテロを起こすか分からない」と不安に思う人が多いんで、イスラム教徒全員国外追放賛成です。
  • 男が自分の乗ってる車両に居ると「いつ痴漢をするか分からない」と不安に思う人が多いんで、男性全員女性専用車両から追放する事に賛成です。

 

  • イスラム教徒の犯罪率は他宗教と比べて高いので、イスラム教徒全員入国禁止にしましょう。
  • 男性の痴漢犯罪率は女性と比して高いので、男性全員女性専用車両に乗車禁止しましょう。

 

  • 犯罪に遭わないように、スラム街には行かない、家には施錠して防犯に努めましょう。「はぁ?どうして被害者が気を付けなきゃならんの?犯罪は犯罪者の責任だろ?!大きなお世話だ!」
  • 痴漢に遭わないように、若い女性は極力女性専用車に乗り、華美な服装を控え、夜道に気をつけ、防犯に努めましょう。「はぁ?どうして女性被害者が気を付けなならんの?痴漢は男性の責任だろ?!セカンドレイプだ!」

共通一次面接会を受ければ良いじゃん

前回お伝えした通り、共通一次面接会とは

  • R社が応募者を面接し、その受け答えの様子を録画し
  • R社がその受け答えを書き起こし、テキスト化し
  • 録画とテキストをデータベース化し
  • 企業はそのデータベースから候補者をピックアップし、二次面接をオファーし
  • 応募者はそのオファーを受諾し、企業の二次面接に進む

というものです。

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それにより、「企業にとって」は以下の通りメリットが生じ、生産性の向上が図れます。

  1. スクリーニングが的確
  2. 即「お帰りください」が可能
  3. 面接官教育が不要

今回は「受験者にとって」はどのようなメリットがあるかを説明します。

良い点1.一次面接のコストが大幅に減る

一番分かりやすいのが、コスト圧縮です。コストには「時間」「お金」があります。

まず、時間的なコストがメチャ圧縮できますね。共通一次面接会では「共通」なので、業界問わず広く問われる事が質問されます。

例えば「10年後どうなりたいか」とか「学業で何を達成したか」とか「リーダー経験はあるか」などです。そこには「どうして当社を受けようと思ったのか?」「当社のコアバリューはなにか?」などは入ってきません。それらは二次面接で問われます。

そうすれば、二次面接を受けるまでに個別企業研究に割く時間は皆無となります。今は最低でも一次面接の段階で個別企業研究をしなければならないので、一時期に10社も一次面接が入ってしまうと、どうしても1社あたりにかける時間が足らなくなってしまうのです。

「個別企業研究しなければならない項目は二次面接から問われる」ならば、二次面接まで進めない企業の研究に割く時間は圧縮され、就活に割くトータルの時間は大幅に減るはず。

あと、移動時間もバカになりません。東京に住んでいれば想像は難しいと思いますが、地方出身者が東京本社の大企業を受けようとすると

  • 今日の一次面接は金沢営業所で、
  • 来週の二次面接は大阪支社で、
  • 再来週の最終面接も東京本社で、

となりかねません。

そして、それが複数社、一時期に固まるのです。移動時間だけでも相当な時間です。

一方で、それら大量に投入される時間は「お祈りメール」で全てが消えるわけです。全国の専門学校生・大学生*1全体で考えると、毎年大勢の若者の貴重な時間が大量に消えています。これは国家して決して無視できない大きな損失ではないでしょうか

さて、時間の次はお金です。私が就活していた時期はもう10年も前ですが、交通費だけでも20万円は飛びました。神奈川在住で、神奈川・さいたま・東京を就活圏にしており、就活期間は半年位でしたが、それでもこれだけ大きな額になるのです。

地方出身者が東京の企業を受けるとなると、交通費だけでもその数倍、プラス滞在費が掛かるので、ある程度の貯蓄がなければまともな就活ができるはずもありません。

「第二志望の企業から一次面接のオファー受けたけど、第二志望だし、東京往復のお金ないから、諦めよう」と考えてしまった優秀な地方の学生はかなり居ると思います。

共通一次面接会では、全国展開するR社の最寄り営業所まで移動し、そこで面接を受ければ良いので、交通費も少なくて済みますし滞在費もおそらく必要ありません。

そして、一回面接動画を撮れば、後は「動画があなたに代わって全国の企業にアピールする」ので、あなたがいちいち東京に赴いて、時間を割いてアピールする必要もありません。圧倒的に高パフォーマンスです。

良い点2.2~3回のやり直しが出来る(場合によっては無限回?)

面接は基本的に一発勝負です。しかし、よく考えるとこの一発勝負は誰も幸せにしていません

仮に応募者が大失敗と思えるような面接をした場合、企業側は応募者の本質をより低く判断してしまうミスを誘発してしまうし、もちろん応募者にとっても「私を全て出せなかった」と悔います。

一方で、応募者が大成功と思えるような面接をした場合、企業側は応募者の本質を正当に判断できますし、応募者にとっても「これで落ちたら仕方ない」と諦めもつきます。

つまり、応募者が面接大成功!と言える面接をすればするほど、企業・応募者双方にメリットがあるのです。一発勝負はその可能性を著しく削いでいると言えます。

そこで、共通一次面接会の動画データは一発勝負ではなく、2~3回と撮れるとしたらどうでしょう??その動画データの中から一番良い物をピックアップして、それをデータベース化する。これは少なくとも一発勝負の一次面接会を多数重ねるよりも、余程良いシステムだと思いませんか?

さて、そもそも「R社面接官が」「R社オフィス内で」という面接制限も無くせば、実質回数無制限の面接も可能です。

面接という形態を保持する為に「30分」「1対1の対話形式」という制限は残すものの、「いつ」「どこで」「誰が面接官で」「どのように」面接するかを自由にすれば、学校のキャリアセンターでキャリアカウンセラー相手に面接を受けまくって、一番良い物を抽出する事も出来ます。*2

前述したとおり、「応募者が大成功と感じる面接」は企業も応募者本人も不幸にしません。であれば、応募者が何回も面接にトライ出来た方が企業と応募者、お互いにメリットがあるはずです。

良い点3.自分の面接の振り返りが出来る

面接の難しさは、「採用」「不採用」という結果しか返ってこない事にあります。*3それ故「なぜ不採用になったのか?」はどうしても自己分析せざるをえませんが、それには、本番でガチガチに緊張した面接の内容を詳細に記憶している必要があります。

つまり、なぜ不採用になったのかを分析する為には、面接の場での自分の振る舞いを客観視し、自分の言った事を面接後でも忠実に覚えている事が必要なのですが、それには性格的なもの、および、結構な経験と訓練が必要です。

一方で、本番の面接を動画で撮っていれば、面接の自己分析は飛躍的にやりやすくなりますし、何より他者からの評価が可能になります

私が人事部時代、学生から面接アドバイスを求められる事が結構あったのですが、肝になる情報は、「何を」言ったのかではなく、意外にも「どのように」(「どのような話の流れで」)言ったのかです。一番禁句とされる「御社は第一志望ではありません」というフレーズも、「どのように」言ったかで効果は180度変わります。

学校には元面接官の方がたくさんいます。模擬面接会も頻繁に行っています。しかし、それが中々内定率向上に結びついていないとすれば、「どのように」という部分が模擬面接では得られないからです。

しかし共通一次面接の動画を見れば「どのように」は一発で判断できるでしょう。自己分析でももちろん「本番の面接動画」は役に立ちますが、それよりも他者からの的確な面接評価を受けられるのは大きなメリットです。

プロのスポーツ選手は自分のフォームを必ず録画し、プロのコーチが分析します。現状での就活は、言ってしまえばプロのスポーツ選手が自分のフォームを録画もせず、試合の後に一人で振り返りをするのみなのです。これでは面接力も向上しないのは当たり前です。

良い点4.就活がプッシュ型からプル型に変わる

就活の本質は応募者は店員、企業はお客さんです。一見すると、ブースを構える各企業は店員で、訪問する応募者がお客さんと誤解するかもしれませんが、違います。

採用・不採用という圧倒的に強い最終決定権を持っている以上、企業はお客さんなのです。*4応募者は店員さんのように、お客さんに自分と言う品物を買ってもらわないといけません。

応募者は店員、企業はお客さん。この関係は覚えておいてください。

さて、現状の就活はいわば、各家庭で待っているお客さんに、店員さんが戸別訪問販売するスタイルです。

この世にデパートやスーバーがなく、お客さんが部屋に引きこもっている世界を想像して下さい。そこで店員さんは各戸訪問販売をせざるを得ませんが、千人単位の多くの店員さんが一時期、一斉に各戸突撃訪問するわけです。そしてお客さんは、スーツを着て似たり寄ったりの商品アピールをする突撃訪問店員さんの中から自分の買う商品を選んでます。

これ、メチャクチャ効率悪いでしょ?

効率悪い理由は、店員さんがお客さんに対してプッシュ型の営業をしているからです。だから現実には、プル型の営業である「デパート」や「スーパーマーケット」があるんです。お客さんは自分の欲しい物を買いに行きます。そこで店員さんは欲しい物を差し出します。そっちの方が店員もお客さんも双方効率的。

プッシュとは押す、つまり、押し売りです。プルとは引く、つまり、店舗販売です。

現状では新卒就活生は「各企業戸別訪問」というメチャクチャ効率の悪いプッシュ型を中心に就活しているわけです。そりゃー新卒の就活が大変なのは当然です*5

訪問販売では100戸訪問して10戸契約は難しいと思いますが、店舗販売では100人の来店者に対して50人に販売する事も可能です。同様に100社適当にエントリーして10社内定を得るのは難しいと思いますが、共通一次面接動画に興味を持った100社にエントリーして10社内定を得るのは比較的楽でしょう。

また、1人が1日で100戸訪問するのは難しいですが、デパートの店舗に1日100人に来店頂くのは十分可能です。同様に半年で100回、個別面接を受ける事は難しいですが、面接動画を100社に見てもらうのは1時間で可能かもしれません。

このように、プッシュ型からプル型の就活にと変更する事は応募者にとって非常にメリットがあるのです。もちろん、リクナビから自分から気に入った企業にアプローチをする、従来のプッシュ型の就活を一部就活に取り入れるハイブリッド式就活もあり得ます。

    • -

以上、「共通一次面接」の概念を説明しましたが、これを今書いた理由は「将来R社さんやKR省がサービスを提供する時には、すでにONIKUMAさんが思いついていた」という証拠を残す為です。

「ホントに共通一次面接会なんてあり得るのか??」って?

十分、あり得ます!その理由は一次面接の生産性が著しく悪いから。企業がもっと人手不足になり、資本もなくなると、真剣にホワイトカラー生産性の向上を図るようになります。

で、目を付けられるのは間違いなく採用業務。その中でも「説明会」と「一次面接」がツートップです。ここは確実に目を付けられると思います。

いつか、説明会の生産性向上案も説明したいと思います。

*1:高校生は原則自由応募でないので除きます

*2:「どのように面接するか」を自由にすれば、ユーチューバーのような、面白く、大胆な面接動画を挙げる個性的な応募者も出てくるかもしれません

*3:なぜ不採用になったのか?という質問を人事部にしても、「その理由で落とすのは差別だ!差別だ!」と騒ぐ人たちを警戒する為、まともな採用担当からは決して教えてもらえません

*4:日本全国のあらゆる企業から内定を得られ、その中から自由に内定承諾・内定辞退出来る最優秀者は別ですが

*5:企業からのアプローチから入る中途の就活が応募者にとって比較的楽なのは、プル型である事が理由です

共通一次面接会を実施すればいいじゃん

工場の生産性を極限まで高めている日本企業にあっても、採用の生産性って最低の位置にあると思っているONIKUMAです。

年功序列の組織を維持する為に毎年新人を大量に一括採用する、中途はあくまで補助」という方針は効率良いと思いますが、その手段が全然効率的ではないですね。

新卒でも、中途でも、応募者が内定を取るまでに以下のような、面接2,3回の採用フローが設定されるのが普通です。

  1. 説明会
  2. 筆記テスト
  3. 一次面接
  4. 二次面接
  5. 最終面接

全ての段階でも言える事だと思いますが、説明会と一次面接が著~~~しく効率性が悪くないですか?と私は思うのです。

今回は一次面接の非効率性を説明し、その解決策として「共通一次面接」を記します。

一次面接が非効率なわけ

一次面接の効率性を考える為には一次面接が何のために行われるのか、その目的が明確でないといけません。

はて、一次面接を実施する(応募者にとっては受ける)目的とは何でしょうか?実は、企業によっては全く決まっていない場合があります。一応一次面接の目的としては以下のようなものが一般的に考えられます。

  1. 企業が、応募者の実務スキル有無を判断する
  2. 企業が、応募者の人物像の良しあしを判断する
  3. 企業が、応募者の考え方・思考法の適不適を判断する
  4. 企業が、応募者から質問に答える事でその知識を高める
  5. 企業が、応募者に企業の宣伝をする
  6. 応募者が、企業の雰囲気を知る
  7. 応募者が、WEBページ等から得られない企業情報を知る

この中で、一次面接でしかできないモノ(二次面接や最終面接ではできないモノ)とはなんでしょうか?それがあるから、わざわざ複数回に分けて面接を実施しているはずです。

それがなければ、最終面接一発勝負で全く構わないはずで、その方が一次二次の面接官の人件費は浮きますし、判断もスピーディになり、良い事尽くめです。

しかし、一次面接、二次面接、最終面接で毎回「IT詳しいの?」「なぜこの学部を選んだの?留学したの?」「なぜ当社に応募したの?」と聞かれた

という経験が多かった私からすると、いったい何のために一次面接・二次面接を設定しているのかよくわからない企業がいっぱいあるのではと勘ぐってしまいます。

一次面接の目的が、「一次面接じゃないとダメ!」という項目ではなく、単に「絞り込み」や、「応募者の雰囲気を見る」などの二次面接でも十分に測れる内容であれば、いっそのこと、「共通一次面接会」を実施すればいいんじゃない?と思います。

共通一次面接会とは

共通一次面接会とは
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  • R社が応募者を面接し、その受け答えの様子を録画し
  • R社がその受け答えを書き起こし、テキスト化し
  • 録画とテキストをデータベース化し
  • 企業はそのデータベースから候補者をピックアップし、二次面接をオファーし
  • 応募者はそのオファーを受諾し、企業の二次面接に進む

というものです。R社というのは、まぁ、人材業界で有名なR社を想定していますが、どこでもいいです。企業と応募者の中間に立って、「面接だけを行う企業」の事です。

データベースには、面接での質問内容に対して、応募者が回答した内容がテキスト化され、動画と共に保存されています。

企業は、テキスト内容を検索し、ヒットした中から候補者を選抜します。例えば「あなたの強みは何ですか?」という質問に対して「スピード」という単語を言った応募者を抽出し、その中から面接動画やそれ以外のテキスト内容を精査し、二次面接のオファーを出すのです。

応募者は二次面接のオファーが各社から来ますので、気に入ったオファーを受諾し二次面接に進みます。

これ、メッチャ良いと思いませんか?

良い点1.スクリーニングが的確

大企業の場合、特に新卒採用においては、1万人の応募者に対して、面接官も含めて採用担当者十数人が選考を行うという状況は珍しくありません。

5対1の集団面接を実施したとしても、とても全員面接できるものではありませんので、面接の前段階でスクリーニング(候補者の絞り込み、足切り)が必要です。

新卒で採用する場合、スクリーニングする方法は「学歴」と「ペーパーテスト」に偏っています。中途でも「前職の社名・役職」「転職回数」と「ペーパーテスト」に偏っています。

これだと、確かに10名を1名に絞る事は可能ですが、「東大生」や「一回も転職経験のないNECの若手部長」を頂点として、いわゆるペーパーテスト優等生やその道一筋のエリートのみが応募者になります。

しかし実際は、東大生やNECのエリートでなくとも「自社に合う素養を持っている」とか「自社の雰囲気になじみそう」とか「伸びしろありそうな考え方をしている」とかの特徴がある方を、応募者として集めたいのです。

事実、東大卒でペーパーテスト満点だけど考え方が全く幼稚なA君と、無名大卒でペーパーテスト20点だけど考え方が優れたB君が居たら面接で合格になるのはB君です。*1

だから、考え方や雰囲気などの「人物ベース」でまず応募者を集め、その中から厳選していった方が効率的です。

しかし、考え方をはじめとした「人物ベース」で客観的に大量にスクリーニングする方法は現状ないため、「学歴」や「前職の格」、「ペーパーテスト」というスクリーニング方法に頼らざるを得ないのです。

これ、採用担当者共通のメッチャ深い悩みなんです。

そこで、共通一次面接会でどういう単語を何回言ったのか?をスクリーニングの対象としたら効果的です。

  • とにかく「スピード感を大事にする人」を採用したい→「スピード」という単語を面接で30回以上言った人
  • 「絶対に法令を順守する人」を採用したい→「ルールを守る」という単語を面接で30回以上言った人
  • 「ITスキルが高い人」を採用したい→最新のプログラム言語の独自関数名を面接で言った人

このように、「スピード」「ルールを守る」という単語でテキストデータベースを検索するスクリーニングであれば、一律にペーパーテストで足切りするより正確な適性判断が可能です。

なお、スピード感がある事を演出したいがために、面接中にやたらと「スピード」という単語を連呼する応募者も居ると思いますが、対話が不自然になりますし、対極の「慎重」という単語検索をする企業からはオファーは全く来なくなりますので、一長一短です。

良い点2.即「お帰りください」が可能

面接は最初の1分で合否が分かる、という面接官も居ますが、合格は分からずとも、最初の1分で“否”が分かる事は結構あります。

  • ノックせずいきなり入室して名乗りもしない応募者
  • スーツの着こなしがとにかくだらしない応募者
  • 恰好が奇抜すぎる応募者
  • 面接官の目を全く見ない応募者

こういった応募者は面接では即不採用ですが、自社会議室等で一次面接を行っているとすれば、数時間かけ安くない交通費を支払っている応募者に対して、面接が始まって1分で「お帰りください」とは言えません。そんな事言ってしまっては間違いなく応募者の企業に対する心証は悪くなりますし、応募者がネットに長けていれば自社WEBサイトや2chは大炎上必至なので、仕方なくいつもより10分短い15分ほどの笑顔満点の接待面接を施してお帰りいただくわけです。

実際の面接をしていると、面接時間が30分とすれば20分もあれば合否は大体決まっています。あとの10分は「合格(不合格)という判断は合っているか?」という補強の為の時間に充てます。また、30分以上合否が判断できない応募者は極まれですし、そういう応募者は大体不採用とします。

つまり、面接時間の2/3の時間が勝負で、残り1/3はロスタイムという場合が多いのです。そのロスタイムは前半2/3の勝負の時間に比べて非常に効率が悪いのです。

一方、共通一次面接会の面接動画であれば、閲覧者が「この応募者はダメだ!」「この応募者はOK!」と思った瞬間に遠慮なく動画を閉じられますので、ロスタイムは0です。

どうしても受け答えを全部見たければ、最初の3分だけ動画で「応募者の雰囲気」を掴み、あとはテキストデータで受け答えを確認すれば30分の面接でも、10分もかかりません。

良い点3.面接官教育が不要

面接を請け負うR社の面接官は、面接だけをその業務とするプロフェッショナルです。すなわち・・・

  • 特定業界の専門知識や実務経験を持ち
  • 毎日10名、年間で1千名単位で面接を実施し
  • 社会人経験が10年以上あり
  • 一般常識や面接マナーを研究し
  • 面接法やキャリアカウンセリング法を会得し
  • 面接にかかわる規制法を熟知している

ような者が、応募者の志望業界・職種に合わせて面接官としてあてがわれるわけです。

現状、各社でも一次面接担当者は抱えていますが、一部例外を除き、面接専門のプロフェッショナルではありません。通常、社内の面接官は面接以外の業務を抱えるので面接業務の優先度はそれ程高くなく、現場担当者であれば完全に「片手間」になります。

また、一次面接官を育てるのも大変で、日々の業務がある中で面接理論や評価法の研修を重ね、実際の面接において数々の失敗を経ながら、数年後にやっと一人前になるという感じです。

結果としてまだ未熟な面接官が面接を担当し、応募者の真意を測れず入社後ミスマッチを起こしたり、応募者から「圧迫面接だ!」と要らぬ不評を買ったりしているのです。

であれば、R社の面接プロフェッショナルが一次面接を担当すればより真意も測りやすいですし、たとえ応募者から「圧迫面接だ!」と思われたとしても、R社以外の社名は傷みません。

応募者にとっても、下手くそなインタビューアーから質問されるより、百戦錬磨のインタビューアーから質問された方が自分を出せるはず。

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以上、共通一次面接会の概要とメリットを説明したわけですが、これは企業側からの視点です。

実際は応募者からの視点が比較的重要で、応募者には更に大きなメリットがあります。

それは次回。

*1:普通の企業は…

ONIKUMAさんのお気に入りブログ ※随時更新

皆さんこんばんは!

今回は私がほぼ毎週確認しているブログを紹介します。
これらをご覧いただければ、きっとあなたもONIKUMA思考になれますよ!

考え方や視点を変えてくれる

■Chikirinの日記

Chikirinの日記

  • 「社会派ブログ」とだけあって、社会普遍的な問題に鋭くツッコミ。煽り多し
  • 文章が口語体・会話形式で読みやすい
  • 極論が多く、字面通りに受け取ると惑わされるので、高い読解力が必要*1
  • 価値は「本質を理解する視点が学べる事

ちなみに、本も出されてますが、ほぼ全て買っています。特に「マーケット感覚」については非常に参考になりました。大企業の本社でヌクヌク培養されている自分の危機感に、火をつけられるに十分な内容です(笑)

与沢翼オフィシャルブログ

YOZAWA TSUBASA OFFICIAL BLOG | Lives in Dubai Burj Khalifa

  • お金を稼ぐ「考え方」を説く
  • お金を稼ぐ「手法」の部分は余り触れられていない
  • ディアビジネスの巨人であり、ブログの魅せ方が非常に上手い
  • 熱心に見ているとマーケティングされます(顧客になる)ので注意(笑)
  • 価値は「お金を稼ぐ、成功する為の本質の部分が分かる

■月見、雪見、花見

雪見、月見、花見。

  • ちきりんさんと同様に「社会派ブログ」
  • 社会の問題に鋭いツッコミと仮説
  • 表現が柔らかく、カドが無く、皮肉もない為、精神的に安心して読める
  • 長文だが文章が平易で、例示も多く、非常に読みやすい為、苦痛はない
  • 残念ながら2016年現在、更新停止中
  • 価値は「本質を理解する視点が学べる

人事・就活

■Joe's Labo

Joe's Labo

  • 人事コンサルタント城繁幸さんのブログ
  • 人事系の話題に鋭くツッコミを入れるし、かなり的確
  • 皮肉タップリなユーモアある文体がとても面白い
  • 人事的知識が無くても分かるし、分かりやすい
  • 価値は「人事・就活の問題点が分かる

■hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

  • 人事コンサルタント濱口桂一郎さんのブログ
  • 人事系の話題に鋭くツッコミを入れるし、かなり的確
  • 労働三法に一通り知識がある人事職でないと理解が難しい、が、深さは圧倒的
  • 価値は「人事系の問題点を専門的見地から分析出来る

■会社と社員を円満につなげる人事の話/ユニティ・サポート小笠原隆夫

会社と社員を円満につなげる人事の話/ユニティ・サポート小笠原隆夫

  • 人事コンサルタント、小笠原隆夫さんのブログ
  • サラリーマン人事の経験も長く、経営側・従業員側両方からの視点を持ちバランス良し
  • 文章は平易で、毒もないので、門外漢でもとても読みやすい
  • 更新頻度も多めで、過去記事も多量
  • 価値は「人事・就活の問題点が分かる

性差別

■ドクター差別と選ばれし者たち

ドクター差別と選ばれし者たち - Yahoo!ブログ

  • 差別の専門家、兼松さんのブログ
  • 日本における男性差別の現状と問題点に鋭くツッコミ
  • 感情論は一切なく、根拠法に則った極めて理論的な批判に終始
  • 批判するだけでなく、行動に起こし、抗議する実践派
  • 価値は「論理的な批判とはどんなものか、現状の日本の女性優遇政策が、いかにずさんかが分かる

■ヨッセンス(のジェンダー論)

ジェンダーフリー社会を目指せ! ジェンダー論に関する記事まとめ | ヨッセンス

  • 人気ブロガー、YosukeYanoさんのブログ
  • 日本におけるジェンダー論そのものに鋭くツッコミ
  • 主夫、夫婦別姓の実体験から来る視点が新鮮
  • 人気ブロガーらしく、非常に読みやすい
  • 価値は「日本のジェンダー論の歪みが分かる

*1:極論が本質ではなく、極論を以って語ろうとしている事が本質

仕事の目的はたった一つ!

皆さんこんばんは!

さて、またまた新人さんに教育する機会がありましたので、それをブログに載せます。

今回は「仕事の目的」についてです。(※ここでは株式会社での仕事の事です)

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結論から書きますが、仕事の目的は当期純利益を上げる事です。絶対に正解、10,000%間違いありません。「社会の安定の為」「従業員の生活の為」なんて、100,000,000%有り得ません。日本は社会主義ではなく資本主義国家ですから。

な~んだ、そんな事かと思う人は大丈夫ですが、相手は新人さんです。なかなかイメージ出来なかったみたいでした。

当期純利益を上げる事というのは一体どういう事かという説明の前に、そもそも、なぜ仕事の目的を考える事が必要なのかを説明します。

なぜ、仕事の目的が大事なのか

新人と言えども、正社員の仕事とは判断の連続です。それをいちいち「これをして良いか?」と誰かに聞くのはとてもウザがられるので、速やかに自分で判断出来るようにならないといけません。

自分で判断する為に、目的が重要になるのです。これが無い、もしくは、曖昧だと判断がフィーリングに依り、ブレブレになります。

そして目的の絶対に離してはならない中心に在るのが当期純利益を上げる事、向上させる事です。

ここに違う目的を設定してしまうと、利益に繋がるような合理的行動がとれなくなります。

仕事では合理的行動が重要です。なぜこの行動を取ったのか?を常に考える事ですね。そして、合理的行動は目的に添います。

当期純利益が目的になると、合理的行動全てがそこに繋がる訳です。非常に大切な部分なので、ちょっと次の章で説明します。

お茶出しでさえもこんなに違う

例えば来客にお見えになるお客様にお茶を出すとします。さて、冷茶が良いか、温茶(なんて言い方あるのかな?)が良いかを判断するとします。

【合理的行動に依ってない人の行動】

思考
「先輩に聞いてみよう/10月は温茶を出す決まりだった」

行動
「先輩から言われた通りに温茶を出す/ルール通りに温茶を出す」

【合理的だけど利益中心主義ではない人】

思考
「なるべく私が楽する為にはどうすればいいか」
「冷茶は氷を入れる必要がある一方、温茶はお湯を沸かさないといけない」
「氷はもう製氷皿にあるけど、お湯は準備しなきゃならないから面倒だ」

行動
「冷茶を出そう」

【合理的行動で利益中心主義な人】

思考
「利益を産むには、お客様を心地よくしないとな」
「それにはお茶の熱さ冷たさが、お客様の暑さ寒さを和らげる効果が貢献できるな」
「お客様は熱さ、冷たさ、どちらを求めるかな」
「今日は気温が例年より低いから熱さを求めるだろう。しかし、駅から走ってくるかもしれないから、その場合に備えて冷茶を出せる準備もしよう」
「準備にそれ程のコストの違いは無いな、一方で効果は大きそうだ!」

行動
「温茶を出すが、冷茶もスタンバイをしておく」
「雨が降っても良いように、走って汗をかいても拭えるタオルも用意しておく」

全然違いますよね?

実際は下に行けば行くほど良い結果に繋がるわけですが、合理的に行動して、かつ、その思考を利益からトップダウンで考えておかないと、良い仕事は出来ないわけです。

ちなみに
【合理的行動に依ってない人の行動】=何も考えていない人です。
【合理的だけど利益中心主義ではない人】=考えてるけどトンチンカンな人です。
【合理的で利益中心主義な人】=正しく考えて行動出来ている人です。
です。

採用の場面では「何も考えてない人」は即不採用です。「考えてるけどトンチンカンな人」は、程度に寄りますが採用の可能性はあります。

これは、考える事を教えるのは、考える方を変えるより難しいからです。勉強の習慣が全くない人に勉強を教えるより、勉強の習慣がある人の結果を向上させる方が簡単ですし、ボールを蹴った事もない人にサッカーを教える事よりも、蹴れてるけど上手くない人にサッカーを教えた方が可能性はあるからです。

大事なのは収益と費用の中身

では当期純利益を上げる、とは一体どういう事でしょうか。

当期純利益とは何か?については損益計算書を学べばよくわかりますが、ここで大事なのは、それを上げるにはどうしたらよいか、という事です。

当期純利益を上げるとは、収益(売上)を増やす、か、費用を減らす、しかありません。

  • 費用を減らす
  • 収益を増やす


これだけです。これだけが、株式会社に所属する人の全員が目指すべき、絶対的目標です。全ての仕事がこの二つのどちらかに帰結します。っていうか、帰結しない行動は罪です。非常にシンプルですね。

収益のほとんどは売上や利子、投資益なので、新人さんにはタッチ出来ません。なので、収益を増やす事、は誰でもほぼ0です。だれも新人さんが収益を増やす事を期待してませんし、新人さんが収益を増やすのを目標とするのもあまり賢いとは言えません。

一方で、費用を減らす事は新人さんにも十分できます。そして、逆に費用を増やす事もあっさり出来ますし、そこに抜群の個人差が出ます。

つまり、費用を増やす人なのか減らす人なのかは入社年数によらず思いっきり差が出てしまうのですね。*1

では、新人さんが費用を減らすにはどうしたら良いか、新人さんでも費用を増やしてしまう落とし穴は何かを次章で説明します。

費用を減らす、費用を増やす

まずは費用を縮小する方法です。費用の縮小の方法も多種多様で実に奥深く難しいので、ここの部分で活躍出来る余地は十分あります。

この部分で全力で取り組む新人さんは間違いなく10,000%出世します。っていうか、その会社では出世は出来なくても市場価値が極めて高い社員に育つので転職も容易です。

【費用を減らす】

  • 仕入れ単価 … ネットで、コネで、散歩がてらのウィンドショッピングで、もっと安い所を探してくる
  • 賃金 … サービス残業決しておススメ出来ませんが
  • 福利厚生費 … 社宅をもっと安い所に引っ越す。労災にメチャメチャ気を付ける
  • 光熱費 … PCの電源はこまめに落とす、電源ツールを使いこなす
  • 不良在庫 … 発注しすぎを指摘して、改善する。EXCELで在庫管理する
  • 旅費交通費 … 最安ルート/最短ルート/最安交通手段
  • 図書教育費 … 無駄な本を買わない、外部研修に行く時は事前に費用対効果を見る
  • 訴訟費 … お客様に対してのコンプライアンス違反は決してしない
  • 補償費 … お客様の物はメチャメチャ丁寧に扱う

そして以下の行動は費用を増やしてしまう行為です。株式会社の目標とは真逆のベクトルの行為、すなわち極悪*2です。やったら一発レッドで退場レベルなので、こういった行動は本当に気をつけましょう。

【費用を増やす】

  • 労働紛争 … 残業代勝ち取ったよ! → 部署の人件費が億単位で上がる
  • 昇給要求 … 昇給したよ! → 同期の人件費も上がる → 人件費が千万単位で上がる
  • 労働災害 … ドアで指挟んだ → 労災保険料のメリット制消失 → 大企業だと億単位の損失
  • 損害賠償 … USBで顧客データ持出 → 流出 → 億単位の損失

*1:もちろん基本的には入社年数を積めば積むほど、社員は費用を減らす方向に育つ傾向はあります

*2:社会的には正義かもしれませんが

語尾までしっかり伝えなさい

※会社の新人さんに伝えた話から抜粋です。
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話す時に語尾までしっかりと言わない社会人が結構います。

以下の会話で、“・・・”で終わってしまい、“( )”の中を言わない事ですね。

「携帯電話の使用はここではちょっと・・・(ご遠慮頂けますと幸いでございます)」
「今日、ちょっと体調が悪くて・・・(お休みを頂きたいのですがよろしいでしょうか)」
「トイレに行きたいのですが・・・(行ってもよろしいでしょうか)」
「書類はそこに・・・(置かせて頂きました)」
「明日には必ず・・・(仕上げて参ります)」

このような、語尾を省略して相手にそれを補完させる言い方は良い所が一つもありません。すぐにでも改善するべきところです。事実、転職していく中で様々な社会人を、上司として、同僚として、部下として見てきましたが、こういう会話がクセになっている人で出世したり、オフィスで尊敬されてたり、信頼を勝ち得ている人は一人も出会った事ありません。

逆に、万年平社員的な人でこういう言い方をする人はたくさん見てきました。あ、もちろん、中年だけではなく、これからずっと出世も向上もしなさそうな若い人も含みますよ。

ではなぜこういう言い方が出世を阻むのでしょうか。尊敬を勝ち得ないのでしょうか。それを以下に記します。

語尾を省略すると、敬語が使えなくなる

これが最悪です。語尾省略君や語尾省略ちゃんは、敬語をしゃべらせるとほとんどメチャクチャ、いまだに例外はありません。

敬語は、“各位”などそれ自体敬語である単語を除くと、ほとんど文末にくるべき動詞や語尾が変化します。つまり、敬語のエッセンスは文末にあるのです。

  • 携帯電話の使用はここではちょっと、ご遠慮頂けますと幸いでございます
  • 今日ちょっと体調が悪くて、お休みを頂きたいのですがよろしいでしょうか
  • トイレに行きたいのですが、行ってもよろしいでしょうか
  • 書類はそこに、置かせて頂きました
  • 明日には必ず、仕上げて参ります

語尾に含まれるこれらの敬語をバッサリ省略して、「トイレに行きたいのですが」で終わってしまうと、文末の「~よろしいでしょうか?」などが分からなくなったり、口馴染まなくなってしまい、大事な場面でとっさに使えなくなります。

大事な場面でとっさに敬語が出てこないという人に、大事な場面を任せようと思う人はいません

語尾を省略すると、圧倒的に立場が弱くなる

私自身が経験があるのですが、怖い上司やビビッてしまう相手に対しては、なぜか語尾までハッキリ伝えられず、尻つぼみになってしまいます。逆に堂々と語尾まで伝えるように強いて意識すると、自然とビビりも少なくなります。

語尾の省略は自信の無さから来るものだと思いますが、これによって相手は「この人は自分に自信が無いな」と感づいてしまいます。その瞬間、相手に心理的に優位に立たれるのです。

また、交渉において立場を強くする為には、相手に会話の主導権を与えない事が重要ですが、語尾を省略する事によって、相手に発話の機会を与えてしまいます。そしてその後の話の流れは相手に委ねられてしまうのです。そうしてまた、相手優位になってしまいます。

語尾を省略すると、言いにくい事をズパッと言えなくなる

語尾を省略する動機は「角が立たない様に」「敬語が話せないのを隠す為」「会話が短くなり、自分が楽」など、たいていは自分の利益優先なのです。「相手と言い争いになってめんどくさくなりそう」「自分が敬語を話せないのを相手に気が付かれてしまう」「語尾まで会話を考えるのがめんどうくさい」、これらを避けようという心理が働いている訳です。

しかし仕事は他者利益で考えられなければなりません。仕事では自分の都合、自分の評価なんてどうでも良い。相手に嫌われようとも、自分が苦労や被害を被ろうとも、相手の利益になる事を選択しなければならないのです。その為、時には相手を怒らせるリスクを承知で、ズバッと言わなければならないのです。

自分の利益優先で考える癖がついていると、いざという時、言いにくい事をズバッと言えなくなります。ズバッと言えば一発で済むところを、「嫌われない様に」とか「自分がもっと楽な方法は?」とか、逃げる方法をまず考えてしまうわけです。

他者利益を第一に考えられない人に、お客様の相手を任せようと思う人はいません

更に悪い事に、どうしてもズバッと言わざるを得ない逃げられない状況の時、それを言い慣れていないと、表現がどうしても稚拙になり結果的に相手を必要以上に不快にさせます。